「セックスに憧れる」 障害者の欲求に向き合うTENGA社長

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「障害者と性」や運営する障害者就労支援施設「エイブル・ファクトリー」について語るTENGAの松本光一社長=埼玉県川越市で2023年4月18日午前11時32分、山田奈緒撮影
「障害者と性」や運営する障害者就労支援施設「エイブル・ファクトリー」について語るTENGAの松本光一社長=埼玉県川越市で2023年4月18日午前11時32分、山田奈緒撮影

 アダルトグッズメーカー「TENGA」(テンガ)=東京都中央区=の松本光一社長(55)は2005年の創業時から「大切な性を誰もが楽しめる社会」を目指し、「誰もが」に強くこだわってきた。手が不自由な人が使う自慰行為の自助具開発や障害者就労支援施設の運営と、障害者にも積極的に関わっている。その原動力はどこから来るのか。話を聞いた。【聞き手・山田奈緒】

 TENGAが運営している障害者施設についての記事はこちらです。
TENGAが障害者施設を運営 「性をタブーにしない」という覚悟

 ――なぜ、障害者支援に積極的なのでしょうか。

 ◆自分が目指す社会を考えた時、自然に障害のある人とつながります。「支援に取り組む」や「社会貢献」という表現とはちょっと違う感覚です。

 そもそも性欲は食欲や睡眠欲と同じで、人間の根源的な欲求です。そこから発展したアンダーグラウンドなエロやビジネスを思い浮かべれば、後ろめたさやタブーが伴いますが、それとは分けて考えてほしい。

 誰かを傷つけることは絶対にいけないですが、性を楽しみ、豊かにすることは、生きる喜びに直結します。だから、すべての人が性を楽しめる社会にしたい。その「すべて」を実現するため、障害者を取り巻く性生活に不利な環境を変えていきたいと思っています。

 創業前、ある車いすの男性と出会いました。性の話になった時、彼は「セックスに憧れる」と言ったんです。「考え出したら止まらない日がある」と。彼は手も不自由で、自慰行為もできない。根源的な欲求なのになにもできない。

 「誰かに手伝っても…

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