脳と心の再生カンファレンス

レビー小体型認知症=工藤千秋・脳神経外科クリニック院長

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工藤千秋(くどう・ちあき)・脳神経外科クリニック院長

 レビー小体型認知症の発見者として広く世界に知られる精神科医の小阪憲司先生が3月に亡くなられました。留学先の英国で、先生から直接話を聞いた時の思い出を振り返りつつ、この病気がいかなるものか、私が診た患者さんのケースを通してお伝えします。

 「優しい母ですが、(母親の孫が)『おばあちゃんの顔が怖い』と言うんです」「お年玉を準備する際、母の手が震えるのを見ました」――。正月明けのある日、60代前半の母親を伴い、クリニックにやって来た女性がこう悩みを打ち明けました。その後、母親はもの忘れがひどくなり、睡眠中に寝言も多く、手足をばたつかせるように。夏になると、「(家の中で)赤い服を着た女の子が、キツネをなでている」などと話すようになったそうです。

 レビー小体型の症状はさまざまです。パーキンソン病のように安静時に震えたり、筋肉の緊張が強く、表情が乏しくなって能面のようになったりします。記憶障害のほか、睡眠中に体をばたばた動かしたり、壁をどんどんたたいたりします。女の子やキツネを見たというのも、幻視という特徴的な症状です。原因のレビー小体は、異常たんぱく質のα―シヌクレインが凝集してできます。小阪先生が、パーキンソン病患者の中脳だけでなく、認…

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