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日本のLGBT法づくりの遅れを批判 グローバル企業の切実な事情

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経団連の十倉雅和会長は3月の定例記者会見でLGBTQなどを巡る法整備が遅れる日本の状況について「恥ずかしい」と苦言を呈した=東京都千代田区で2023年5月10日、町野幸撮影
経団連の十倉雅和会長は3月の定例記者会見でLGBTQなどを巡る法整備が遅れる日本の状況について「恥ずかしい」と苦言を呈した=東京都千代田区で2023年5月10日、町野幸撮影

 LGBTQなど性的少数者への理解増進を目的とする自民、公明の与党としての法案が18日、国会に提出された。2021年に超党派の議連がまとめた法案に比べ、自民党内の保守派に配慮した内容で、LGBTQの当事者や野党からだけでなく、経済界のトップや企業からも、日本の法整備が海外と比べて遅れていることに疑問や批判の声が公然と上がる。その背景には、特にグローバル展開をする企業にとり、無視できない切実な事情もあるようだ。

「修正案は不完全」

 「(与党での法案取りまとめは)一歩前進ではある。しかし、完全なものでは全然ない。本当に考えていかないといけないのは、これでマイノリティーの皆さんが本当に社会とともに歩むことができるのかだ」

 経済同友会の新浪剛史代表幹事は16日、就任後初めての定例記者会見で、自民党の会合で認められた「LGBT理解増進法案」の修正案が自公両党間でも了承されたことを受け、こう発言した。言葉の端々からは、修正案の内容への懸念が感じられた。

 特に「性自認」の文言が自民党内の保守派に配慮する形で「性同一性」に修正された点への不満が強い。「(『性同一性』という言葉の)解釈によって(実際の当事者が)排除されることのないようにしないといけない。英語(ジェンダーアイデンティティー)だと(性自認と性同一性は)一緒だが、やっぱりこの言葉は違う」。新浪氏は神妙な面持ちで述べた。

 新浪氏は、法整備の必要性を訴えることで「多様性を認めることは企業や日本がイノベーティブ(創造的)になる基盤」と考えるからだと説明する。新浪氏は、性的少数者も活躍できる社会の実現に向けた取り組みの強化を求める政府宛ての署名を同友会の会員の経営者らに呼びかけた。その署名数は500人を超えた。主要7カ国首脳会議(G7サミット)の終了後に政府に提出する予定だ。

遅れは「恥ずかしい」

 大企業を中心に構成され、政治にも強い影響力を持つ経団連のトップも政府に不満を漏らす。理解増進法案の議論が進まない状況が続いていた3月、十倉雅和会長は定例記者会見で、2月の訪米時に米政府の要人から日本の状況について「どうなっているか」と問われた場面を振り返り、…

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