
犬や猫などのペットが増えすぎて管理できなくなった末に起こる「多頭飼育崩壊」。飼い主にはペットを不幸に陥れた一義的な責任があるが、その背景には経済的困窮や社会的孤立といった社会が抱える問題が横たわる。繰り返される悲劇を食い止めるためにはどうすればよいのか。【聞き手・川地隆史】
地域社会の問題として対応を 岸恵美子・東邦大看護学部教授
多頭飼育崩壊は、動物に起因する問題ではないと強調したい。飼い主が生活に困窮した結果、不衛生な生活環境に置かれるなどしており、社会福祉の側面から支援を要する場合が少なくない。
環境省が2021年に公表した「多頭飼育対策ガイドライン」の策定に、有識者委員として関わった。ガイドラインは自治体の動物愛護を担当する部局と、住民の福祉や生活衛生に関する部局間のほか、自治体と地域の動物愛護団体との連携を促している。
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