深呼吸、諦めない家 自らも化学物質過敏症 集合住宅を改装、大家さんに

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「化学物質過敏症」の患者向けに不動産賃貸業を展開している柳田徹郎さん=神戸市で3月
「化学物質過敏症」の患者向けに不動産賃貸業を展開している柳田徹郎さん=神戸市で3月

 住宅の壁や床に含まれる化学物質で体調を崩す「化学物質過敏症」に苦しんできた男性が、患者向けの不動産賃貸業を展開している。兵庫県西宮市の柳田徹郎(てつお)さん(47)で、化学物質を使わない素材で一般物件を改装して提供。「家で深呼吸もできない人や、普通の生活を諦めている人を救いたい」と力を込める。

 化学物質過敏症は人工的な香料や洗剤、塗料などに反応し、頭痛や吐き気、目まい、呼吸困難などを起こす疾患。原因物質が少量でも発症し、認定NPO法人「化学物質過敏症支援センター」によると、症状に苦しむ人は全国で100万人以上に上る。診断できる医師が国内に少なく、潜在的な患者も多い。重症だと郊外の家やホテルを転々としたり、仕事ができなかったりする人もいる。

 柳田さんは東京都内で働いていた2002年、木造アパートへの引っ越し直後に息苦しさに襲われ、症状を自覚した。床下にまかれた害虫駆除剤が原因とみられ、換気しても耐えられず1週間で退去した。その後転職し地元・兵庫に戻ったが、職場で頭痛や目まいが続く日々。18年、正社員から契約社員となり、リモート勤務になった。

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