列車減便で駅は混雑、苦情900件でも…「コロナ前に戻せぬ」事情
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都市部の生活に欠かせない通勤・通学列車の減便が各地で進んでいる。新型コロナウイルス禍の利用客減を機に、JR九州は2022年秋に福岡都市圏で朝夕の通勤列車の運行を1割以上減らし、JR東日本や西日本も同様だ。混雑や不便に直面した利用客や沿線自治体からは改善を求める声が止まらないが、鉄道会社には単純に便数を戻せない事情がある。
「(ダイヤ改正を)もう少しソフトにしてくれてもよかったのに……」。JR鹿児島線の福間駅(福岡県福津市)から小倉駅(北九州市)まで通勤で約50分乗車する福津市の男性公務員(40)は、22年9月下旬以降、朝の生活が大きく変化した。JR九州のダイヤ改正で、午前7時前後に3本ほどあった福間駅発の小倉方面行きが1本に集約され、激しい混雑に直面した。
乗る列車を1本遅らせると午前8時半の始業に間に合わない。そこで男性はやむなく職場の始業時間を1時間前倒しの「早出」に変え、利用する列車を1時間近く早めた。この4月、異動に伴い始業は午前8時半に戻したが、駅に着く時間は改正前より30分前後早めている。男性は「コロナ(の感染症法上の位置づけ)が5類に移行してもダイヤが戻るわけではないだろうし」と嘆息する。
昨秋のダイヤ改正は、九州新幹線長崎ルート(西九州新幹線)の開業に合わせる形で、福岡市や北九州市近郊の朝夕の在来線の通勤列車を中心に減便した。人口増加が続く福岡都市圏でのまとまった減便は1987年の会社発足後初めて。博多駅(福岡市博多区)では朝夕に到着する普通・快速列車が1~2割減った。
背景には利用者の減少がある。…
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