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世界中で急速に利用が広がる生成AI技術。私たちの暮らしをどう変える?

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人間に求める能力は? 全学生に生成AI配った東洋大学部長の思惑

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「人間関係と同じで、良い回答を得るには対話を積み重ねることが大切」と話す東洋大の坂村健・情報連携学部長=東京都北区で2023年5月17日午後1時39分、内藤絵美撮影
「人間関係と同じで、良い回答を得るには対話を積み重ねることが大切」と話す東洋大の坂村健・情報連携学部長=東京都北区で2023年5月17日午後1時39分、内藤絵美撮影

 東洋大情報連携学部(東京都北区)は、利用が急拡大している生成AI(人工知能)「チャットGPT」の最新言語モデル「GPT―4」を活用した学内システムを開発し、4月から全学部生約1500人に利用を推奨している。生成された文章や画像がそのまま研究成果として出される懸念から、学生の利用に慎重な大学も多い。だが、坂村健学部長は「使えるようにしなければ教育が始まらない」と説く。【聞き手・李英浩】

チャットGPTに「誰でも使える衝撃」

 ――生成AIへの関心が急速に高まりました。チャットGPTの登場から数カ月間での変化をコンピューター科学者としてどう見ますか?

 ◆膨大な言語を学習させた「大規模言語モデル」(LLM)に基づくAI技術は、チャットGPTの登場以前から数多くの論文が出ていて、研究者の間では知られた技術でした。

 チャットGPTが衝撃的だったのは、対話の知能レベルの高さもありますが、専門的な知識がない人でも扱えるネットサービスであった点です。誰でも使えるから、たった数カ月で社会に広がっていきました。

 また、従来の対話型AIは、学習した内容によっては倫理的に問題のある回答を出すことがありました。しかし、チャットGPTは人種差別などを助長する回答をしないように相当訓練されていた点も驚きでした。

 この30年、インターネットの登場で世の中は変わりましたが、それに輪をかけて大きな変化が起きているような印象です。

「全く使わないことは考えられない」

 ――なぜ、全学部生が自由に使えるようにする必要があったのですか。

 ◆ビジネスや日常生活では爆発的に利用が広がっていて、生成AIへの命令を専門とする「プロンプトエンジニア」という職業さえ生まれるほど社会に変化をもたらしています。

 情報系の学部で全く使わないということは考えられません。むしろ積極的に使う中で、利用すべき場面とそうではない場面を学び、生成AIとの付き合い方を考えてほしいと思いました。

 ただし、…

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【生成AI】

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