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デジタル庁は23日、国からの給付金を受け取る口座をマイナンバーとひもづける制度で、別人の口座情報を誤って登録するミスが6自治体で計11件見つかったと発表した。これとは別に福島県いわき市も同日、同様のミスが1件あったと公表。誤登録は7自治体12件に膨らんだ。マイナンバーカードを巡っては、カードと一体化された「マイナ保険証」で別人の情報がひもづけられていた問題が発覚するなどトラブルが相次いでいる。
デジタル庁によると、登録ミスは2022年7月~今年5月にかけて発生。いずれも自治体窓口での登録作業での人的ミスが原因で、誤ってひもづけられた口座情報は既に修正されている。誤入金などの被害は確認されていないという。
デジタル庁は22年3月、マイナカードの取得者向けサイト「マイナポータル」などで、公金受取口座の登録受け付けを始めた。事前に口座をひもづけておくことで、緊急時の給付金の受け取りなどが便利になる。
福島市のケースではマイナポータルの操作方法などをサポートする自治体の担当者が本人にかわり窓口の端末で公金受取口座を登録した際、手続き後のログアウトをし忘れた。そのため、次に同じ端末で操作した利用者の口座が、前に手続きをした人のマイナンバーにひもづけられた。同市では4件のミスが確認されている。
河野太郎デジタル相は23日の記者会見で、「信頼性の確保に向けてできることはしっかりやっていきたい」と述べ、既にひもづけされている口座情報(5月21日時点で約5432万口座)を総点検する方針を明らかにした。自治体に対しても登録手続きマニュアルの順守の徹底を要請した。
ただ、マイナカードに関するトラブルはこれだけではない。カードを使って住民票の写しなどがコンビニで受け取れるサービスで今年3月以降、別人の証明書が誤交付されたケースが14件あったほか、既に登録を抹消した印鑑登録証明書の誤交付も13件見つかっている。
マイナ保険証の誤登録も21年10月から22年11月末までに全国で約7300件あったことが、厚生労働省の調査で判明し、実際に別人の医療情報が閲覧されたケースも5件あった。
政府はマイナカードの用途拡大など普及促進策を推し進め、カード取得申請率は8割近くに達したが、次々と表面化するトラブルは制度の信頼を根底から揺るがしかねない。【後藤豪】