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相手にされず「おいてけぼり」 気候変動対策で孤立する日本

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主要7カ国(G7)首脳と招待国首脳らによる拡大会合で討議に臨む岸田文雄首相(中央)。G7首脳会合では、気候変動対策も主要議題の一つだった=広島市南区のグランドプリンスホテル広島で2023年5月20日午後3時17分(代表撮影)
主要7カ国(G7)首脳と招待国首脳らによる拡大会合で討議に臨む岸田文雄首相(中央)。G7首脳会合では、気候変動対策も主要議題の一つだった=広島市南区のグランドプリンスホテル広島で2023年5月20日午後3時17分(代表撮影)

 広島市で開かれた主要7カ国首脳会議(G7サミット)では、ウクライナ危機の陰に隠れた印象があるとはいえ、気候変動問題も主要議題だった。日本が力を入れる政策に明確な賛同が得られないなど、議長国なのに「おいてけぼり」感が拭えなかったが、近年、気候変動を巡る国際交渉でも日本が世界の動きから取り残されるような場面が目立つようになっている。

政府方針は「賛成せず」だったが…

 「ハシゴを外された」

 日本政府の交渉担当者がこう振り返る、見込み違いの出来事が2022年11月、エジプト・シャルムエルシェイクで開催された国連気候変動枠組み条約第27回締約国会議(COP27)であった。

 COP27議長国・エジプトは「途上国の代表」として、地球温暖化の影響による「損失と被害(ロス&ダメージ)」を主要議題に掲げていた。損失と被害への支援の仕組みは途上国、特に島国など温暖化の影響を受けやすい国が長年求めてきたが、先進国と途上国の間で意見の対立が激しく、約30年にわたって具体的な進展がなかった。

 日本政府の交渉担当者は「COP27でも基金設立合意は難しい」と見ていた。21年のCOP26での演説で、岸田文雄首相が「途上国に5年間で最大100億ドルの追加支援をする」と表明していたこともあり、政府内ではさらに資金拠出を求められる可能性が高い基金の設置に反対する意見が大勢を占めたという。

 「途上国を支援する基金の設立には賛成できない」。開幕直前の会議で、日本政府としての対応方針はそう決まった。

 ところが、COP27の交渉は…

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【気候変動】

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