九州電力、電気運搬船で送電検討 世界初、26年以降実証実験へ

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蓄電池を積んだ電気運搬船のイメージ図=パワーエックス提供 拡大
蓄電池を積んだ電気運搬船のイメージ図=パワーエックス提供

 九州電力は25日、世界初となる電気運搬船による送電を、電力ベンチャー「パワーエックス」(東京)と検討すると発表した。九州では太陽光などで発電した電力が他地域に送電できないまま無駄になる日もあり、蓄電池を積んだ運搬船による海上輸送で有効活用を探る。2026年以降の実証実験を予定している。

 両社は25日、共同検討への覚え書きを結んだ。運搬船はパワーエックスと今治造船(愛媛県今治市)が25年の完成を目指して建造する。全長140メートルで、一般家庭2万4000世帯の1日分の使用量に相当する電気を運べるという。九州内で蓄電し、本州などの他地域の送電設備に接続して電力を供給する構想だ。

 日照に恵まれた九州は太陽光発電施設の増加とともに、発電量が使用量を上回り需給バランスが崩れる日が増えた。本州・九州間で送電できる「連係線」の容量は限られ、使用量を超えて発電すると大規模停電の恐れがある。18年10月以降、発電の抑制を求める「出力制御」は年に数十回実施されている。連係線の容量拡大も検討されているが、パワーエックスの担当者は「連係線増強には相当な時間がかかる。船による連係線の補完は有効だと考える」と話している。【久野洋】

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