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アフリカの経済大国・南アフリカで昨年、地球温暖化対策として大規模な石炭火力発電所を閉鎖した結果、周辺で失業者が急増している。南アは豊富な石炭資源があり、発電に占める石炭火力の割合が86%と世界最高水準。政府は「脱炭素」を掲げて欧米からの支援を呼び込むが、石炭産業に依存してきた一部住民は苦境に陥っている。
「なぜクビに? 俺が何をした」
最大都市ヨハネスブルクから東に約150キロのコマティ石炭火力発電所。1960年代に営業運転を始め、最盛期には9基で計約100万キロワット(原発1基分に相当)の発電能力があり、「アフリカで最も工業化が進んだ国」と言われる南アの発展を支えた。しかし、政府や南ア電力公社は、地球温暖化対策や老朽化を理由に発電所の閉鎖を決め、2022年10月末に最後の炉が運転を停止した。発電所のすぐ横には従業員向けに整備された約1キロ四方の住宅街があり、数千人が暮らす。ここで生まれ育ち、親子2代にわたって発電所で働いてきた人も多い。
「良い仕事だったのに解雇された。何でもいいから次の仕事がしたい」。今年4月まで働いていた地元の男性(35)は嘆いた。下請け会社から派遣され、15年から発電所の石炭貯蔵場で重機に燃料を補給する仕事をしていた。契約は3カ月ごとに更新する非正規雇用。昨年10月の運転停止後、残った石炭を片付ける仕事があったが、それも半年ほどで終わり、「派遣切り」に遭った。
電力公社は、自社の正社員は他の発電所などへ異動させ「誰も解雇していない」と強調する。ただ、…
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