山野辺太郎さん(作家) 「生死超えた存在に憧れ」 新刊刊行、山野辺ワールド凝縮
毎日新聞
2023/5/31 東京夕刊
有料記事
1860文字
- ツイート
- みんなのツイートを見る
- シェア
- ブックマーク
- 保存
- メール
- リンク
- 印刷

日常と非日常、現実と空想、生と死――。作家の山野辺太郎さんの紡ぐ物語は、自明と思える境界を言葉によって軽やかに越えていく。平明で親しみやすい文章が、リアリズムと奇想をユーモラスに接続する。新著『こんとんの居場所』(国書刊行会)には、そんな山野辺さんのエッセンスが詰まった中編小説2編が収録されている。
表題作は、海に浮かぶ謎の物体「こんとん」を巡る物語。「渾沌(こんとん)島取材記者/経験不問要覚悟/長期可薄給裸有」。無職で引きこもりのような生活をしていた25歳の純一は、ある日、スポーツ紙で目にした三行広告の「裸有」の2文字に興味を引かれる。面接を経て「こんとん調査保護センター」に採用された彼は、園田先生と竹下隊長、同僚の千夜子らとともに調査船に乗り込み、千葉・房総半島の先から「こんとん」の調査…
この記事は有料記事です。
残り1509文字(全文1860文字)