マイナカード、相次ぐトラブル原因は? 「不具合ない方が不思議」
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マイナンバーカードを巡るトラブルが相次いでいる。原因を探ると制度の根幹にかかわる課題も見えてきた。
本人確認1回だけに
「まだまだ不安が払拭(ふっしょく)できていない」「全部のデータ点検が終わるまで進めてはいけない」。2日午後に開かれた衆院の連合審査会。多くの野党議員が、これまでのトラブル事例を取り上げて政府を追及した。
マイナカードを取得するともらえる「マイナポイント」事業では、誤って別人にひも付けるミスが2022年8月以降、97自治体で計121件報告されている。自治体の登録支援窓口の共用端末で、住民に操作方法を教えるスタッフの支援員がログアウトを忘れ、次の人がそのまま上書きし入力したため、前の人のカード情報と次の人の決済サービスがひも付いて誤登録が発生するなど人的ミスが主因だ。
ミスの背景について、デジタル庁は5月29日の参院特別委員会で、22年6月に本人確認を2回から1回に簡略化するようシステムを変更したことを挙げた。
ポイント付与の登録システムは、手続きの開始と終了時にマイナカードと暗証番号で本人確認する仕組みになっていた。だが、煩雑すぎるといった苦情が利用者から寄せられ、完了時の確認はやめたという。22年8月以降は他人の口座が登録されるケースが相次ぎ、今年4月にシステムを元に戻した。その後はミスは確認されていないという。
自治体運営やシステムに詳しい日本政策総研の若生幸也理事長は、政府のマイナカード普及促進策により、実務を担う市町村の現場は多忙な状態だったと指摘。「多忙な状態で登録完了時のマイナカードによる本人確認をやめると運用者(自治体)側にミスが起こりやすい状態となる。ミスを減らすには運用者に別の負担がかかる」と語る。マイナカードによる本人確認が重要となるため「苦情が来てもシステムを変更すべきではなかった」と話す。
デジタル庁、甘い危機管理
国の給付金の受取口座をマイナンバーとひも付ける制度でも、別人の口座情報を登録するミスが15自治体で計21件見つかった。マイナポイントと同じように手続きの支援窓口で前の人がログアウトせずに次の人が登録作業をしたため、ミスが起きた。デジタル庁によると、自治体から最初に連絡を受けたのは昨年7月。デジタル庁関係者からは「その瞬間に反応しないといけなかった。危機管理が甘い」との指摘が出ている。一方、政府のマイナンバー制度に関する作業部会メンバーを務める東京財団政策研究所の森信茂樹研究主幹は「地方自治体などは予算も人員も逼迫(ひっぱく)しているところが多い。資金面の援助など対策は政府が考えるべきだ」と指摘する。
マイナカードを使って住民票の写しなどがコンビニで受け取れるサービスでは今年3月以降、別人の証明書が誤交付されたケースが14件、印鑑登録証明書の誤交付も13件見つかった。デジタル庁は、富士通の子会社「富士通Japan」が提供したシステムの不具合が原因としている。
マイナポイン…
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