半導体のつくり方 チップ出荷への卒業試験「最終検査」
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半導体チップの製造プロセスの要所にある検査工程は、基盤となるウエハー上に形成された回路が設計通りに作動するかを検査し、品質を保証する重要な役割を持つ。チップが急速に高性能化するにつれて、検査に求められる精度も年々高まっている。その検査装置分野では約6割の世界シェアを持つ日本企業が活躍している。
連載「半導体のつくり方」のアーカイブは、以下のページでご覧いただけます。
第1回 世界一平らな素材 シリコンウエハー
第2回 光の進化と競争する感光剤「フォトレジスト」
第3回 チップ微細化のカギ「露光」「光源」
第4回 チップの構造を立体化する「成膜」
第5回 ナノのすき間もピカピカ「洗浄」
第6回 換気に素材に縦横無尽「材料ガス」
第7回 半導体ウエハーを切り分ける「ダイシング」
第8回 チップを樹脂で包む「モールディング」
チップに初めて電気を通す
半導体チップが出荷されるまでには、大きく分けて2回の検査工程がある。
一つは、チップの基盤となるウエハーに回路を作る「前工程」の最後に実施する「ウエハーテスト」。もう一つは、出荷前の最終チェックとなる「最終検査」だ。
ウエハーテストは、チップを切り分けて最終製品の形にする「後工程」に移るための進級試験だ。
直径300ミリの円形ウエハーには、1センチ四方で約600~650個分の細かなチップが形成されており、検査ではそのすべてを一つ一つチェックする。
検査には、寸法、欠損の有無、耐久性などさまざまなチェック項目があるが、なかでも重要なのが、チップに組み込まれた機能が正常に作動するかを確認するテストだ。
半導体チップに埋め込まれた電極に、プローブとよばれる針を接触させて信号を送り、正しく返ってくるかを確認する。例えば、複雑な演算の問題を出して、正確な答えが導き出されるかを検査する。
試験に落第したチップは、位置情報が記録され、後工程でウエハー上のチップを切断した後に不良品として取り除かれる。
合格したチップは、チップと外部配線を接続する金属薄板(リードフレーム)に取り付けられ、黒い樹脂で封止した最終製品の形になる。
この状態で実施されるのが「パッケージングテスト」だ。チップをテスト用のプリント基板に搭載し、ウエハーテストと同様に機能を検査する。さらに、メモリー(記憶装置)やプロセッサー(演算処理装置)でデータの処理や読み込み、書き込みの速度が、設計通りかどうかもチェックする。
パッケージングテストは一般的に「最終検査」と呼ばれている。しかし近年は、パッケージングテストの後に「システムレベルテスト」が実施されるケースも増えている。
システムレベルテストでは、メモリーやプロセッサーなどさまざまな機能を持つチップが一体的に機能するかどうかを確認する。例えば、スマートフォンのカメラのアイコンをタッチすればカメラ機能が起動するかなど、実際に製品に搭載された状態を想定して検査する。
半導体検査装置で…
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