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人間が生成AIに依存したら 責任はどこへ? 哲学者が懸念する未来

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生成AIの活用と未来像について語る哲学者の戸谷洋志さん=大阪府枚方市の関西外大で2023年5月23日、三村政司撮影
生成AIの活用と未来像について語る哲学者の戸谷洋志さん=大阪府枚方市の関西外大で2023年5月23日、三村政司撮影

 もしも「チャットGPT」などの生成AI(人工知能)に人々が依存するようになったら、どんな未来が待っているのだろうか。

 哲学者の戸谷洋志さん(35)は、2022年刊行の著書『スマートな悪』(講談社)で、余計な手続きを排除する「スマート化」に価値を置く社会に警鐘を鳴らした。科学技術と倫理について研究する戸谷さんは、人間に代わって意思決定するような生成AIの活用をどう考えるか。キーワードとして「責任」を挙げた。

 ――生成AIの先行きをどう見ていますか?

 ◆これからどうなるか見通しがつかない、というのが率直なところです。特にチャットGPTは急速に浸透しているようにも見えますが、今はまだ使って遊ぶ「おもちゃ」にとどまっています。

 ただ、それが飽きられて終わると考えるのは、一つの見方でしかありません。もしかしたら社会のインフラに関わるような形で使われるようになり、チャットGPTがないと我々が生活できないような未来も待っているかもしれません。

 あるテクノロジーに人間の生活が完全に依存させられてしまう状態をどう評価すべきなのか。私はそれを考えたくて、テクノロジーの哲学研究を始めました。きっかけは11年の東日本大震災です。当時、千葉に住んでいたのですが、原発事故の影響を肌で感じました。原発の根本的な問題は、安全性のリスクだけでなく、原発をやめようとしてもやめられなくなる、そうした社会システムを作ってしまうところにあると考えます。生成AIの話に戻れば、まだそういうレベルで社会に浸透していません。

政治や司法での使用 人間観は?

 ――懸念はありますか…

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