在日描くドラマ「パチンコ」に出演 南果歩さんがルーツ語る理由
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4世代の在日コリアン一族を描いた米国ドラマ「Pachinko パチンコ」(アップルTV+で配信中)が同国で、最優秀外国語ドラマ賞を受賞するなど高く評価されている。日本のドラマでは、あまり描かれることのない在日コリアンの歴史と苦悩。「在日3世」と公表している俳優の南果歩さん(59)は原作小説に共感し、自らオーディションで役を得た。自身のルーツと重ね合わせ、伝えたかったことは――。【大野友嘉子】
オバマ元大統領の愛読書
原作は、韓国系米国人の作家、ミン・ジン・リーさんが2017年に発表した同名の小説。オバマ元大統領が推薦する「フェイバリット・ブックス(愛読書)」の一冊としても知られ、100万部を超えるベストセラーとなった。
日本に1910年、併合された朝鮮半島から大阪に渡った一人の女性、ソンジャとその家族を4世代にわたって描いた物語。日本社会で直面した困難や差別を取り上げている。
南さんは20年に、知人のプロデューサーから「すごく面白い本があるんだよ」と、原作の評判を聞いていた。和訳版が出て「私自身のファミリーヒストリーとオーバーラップする部分があり、読みながらいろんなことを考えました」。
ストーリー展開にも魅了された。時代背景を丹念に書き込みながら、ソンジャから始まるそれぞれの世代の人生を順序立てて著した内容に、南さんは「大河ドラマのような作品」と表現する。
「世代ごとに物語を着地させず、次(の世代)につなげていく構成が素晴らしいと思いました。人生にピリオドはなく、その世代だけで結果なんて出ない。でも、時間がたてば、自分の世代で答えが出ないことが次世代につながっていくという構成が面白くて」
ベテランでも一からオーディション
ドラマ化に伴い、オーディションの話が舞い込んだ時、迷うことはなかった。当時56歳。キャリア30年以上のベテラン俳優が、一からオンライン審査に挑み、役を得たのだ。
「新鮮でしたね。新人の頃はオーディションをたくさん受けていましたが、ある程度経験を積むようになるとなくなりますから。年齢とともに初めてのことが減っていく中での大冒険でした」
出自を隠して臨んだデビュー作
プライベートでは、在日コリアンであるという自身のルーツをオープンにしてきた。高校時代、特別課外活動の時間にマイクを握り、全校生徒の前で在日であると明かしたこともある。だが、芸能界デビューし、しばらく公表は控えた。
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