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5月19~21日に広島で開かれた主要7カ国首脳会議(G7サミット)。G7首脳による初めての平和記念公園訪問、ウクライナのゼレンスキー大統領の対面参加、核軍縮に特化した初のG7首脳文書など、話題に事欠かないサミットだったことは間違いない。
特に3日目の21日、岸田文雄首相とゼレンスキー氏がともに平和記念公園の慰霊碑に参拝したシーンは、2016年の安倍晋三首相(当時)とオバマ米大統領(同)による参拝をほうふつとさせた。被爆地広島を地元とする岸田氏としては面目躍如の思いだろう。閉幕後の岸田氏はおおいに上機嫌だったようで、サミット会場のホテルに詰めていた100人以上の政府職員のもとへ自ら慰労に出向いたという。
こうした派手な外交舞台とは対照的だったのが、サミット直前に繰り広げられた「LGBT理解増進法案」を巡る自民党内の論争だった。同法案は、目的や基本理念に「性的指向を理由とする差別は許されない」と明記し、地方自治体や学校などに理解促進の努力義務を課す内容だが、「差別の定義があいまい」と反対する保守派と、サミット前の成立を目指す推進派の間で怒号が飛び交った。
サミット前にこだわったのは岸田氏本人だ。しかし意見集約に手間取り、保守派との駆け引きが3カ月以上続くことになった。そのさまは、岸田氏の党内基盤の強弱を占うバロメーターでもあった。
同法案の機運が高まったのは、首相秘書官による性的少数者に対する差別発言問題があった2月から。岸田氏は周辺に「議長国としてサミットを迎えるのに、このままでは立っていられない」と不満を口にした。バイデン大統領が所属する米民主党は性的少数者の権利擁護に熱心で、エマニュエル駐日米大使が法案の必要性を積極的に発信したことにも、岸田氏は焦りを強めた。
ただ、党の政策責任者である萩生田光一政調会長は…
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