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日本の脱炭素戦略は「危険な賭け」か 識者が指摘する問題点

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議長国として記者会見する岸田文雄首相=広島市中区の平和記念公園で2023年5月21日午後3時24分、北山夏帆撮影
議長国として記者会見する岸田文雄首相=広島市中区の平和記念公園で2023年5月21日午後3時24分、北山夏帆撮影

 日本政府は「2050年までに温室効果ガス排出実質ゼロ」を国際公約として掲げる。その手段の一つとして政府が推進するのが、水素やアンモニアの活用だ。火力発電で化石燃料と混ぜて使う「混焼」技術はアジアでの普及も狙う。だが、脱炭素政策に詳しい諸富徹・京都大教授はこの手段について、主要7カ国(G7)の日本以外の国から「疑問符がついている」と指摘する。日本の戦略にどんな問題があるのか。

「石炭火力廃止加速」強調した首脳宣言

 ――広島市で開かれた主要7カ国首脳会議(G7サミット)では、気候変動問題が主要議題の一つでした。

 ◆首脳宣言の中身は、4月に札幌市であった気候・エネルギー・環境相会合での合意を再確認するようなものがほとんどだった。ただし、その中で印象的だったのは「石炭火力のフェーズアウト(段階的廃止)」に関する書きぶりだ。

 日本の反対で廃止年限は入らなかったものの、「35年までの電力部門の完全または大部分の脱炭素化や(産業革命前からの)気温上昇を1・5度に抑えるという世界目標と矛盾しない形で」といった条件がついた。1・5度に抑えるためには今後10年で大幅削減する必要があり、石炭火力の廃止を加速させるんだということが口酸っぱく書かれている。

 G7の中で日本とそれ以外の欧米との間で大きく隔たりがあったのが、電力部門でのアンモニア活用の是非だった。…

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