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COP議長は石油企業トップ 欧米からUAEに向けられる懸念

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COP28の議長を務めるアラブ首長国連邦のジャベル産業・先端技術相=ベルリンで2023年5月3日、AP
COP28の議長を務めるアラブ首長国連邦のジャベル産業・先端技術相=ベルリンで2023年5月3日、AP

 11~12月にアラブ首長国連邦(UAE)のドバイで開催される国連気候変動枠組み条約第28回締約国会議(COP28)で、UAEの国営石油企業トップが議長を務めることへの懸念が欧米の政治家の間で広まっている。化石燃料業界の擁護者なのか、脱炭素を加速させる変革者なのか――。専門家は、ドイツ西部ボンで15日まで開かれている同条約の事務レベル会合の中身が、議長国としての「信頼性」を判断する鍵になるとみる。

 「世界最大級の石油・ガス会社の最高経営責任者(CEO)をCOP28の議長に指名することは、交渉を台無しにするリスクがある」

 米連邦議会と欧州連合(EU)の欧州議会に所属する130人を超す議員グループは5月23日、国連のグテレス事務総長やバイデン米大統領らに宛て、COP28で議長を務めるUAEのジャベル産業・先端技術相を議長から交代させるよう促す「外交努力」を求めて書簡を送付した。

 ジャベル氏は、アブダビ国営石油会社(ADNOC)のCEOも兼務する。書簡は、化石燃料に依存する社会からの移行に向けた道筋を話し合うCOPで、石油・ガス業界の重役が会議をリードする利益相反に懸念を示したものだ。ロシアのウクライナ侵攻を受けたエネルギー価格の高騰で、石油大手は軒並み過去最高益を更新。ADNOCも石油増産計画がある。

 英紙ガーディアンは5月30日、インターネットの無料百科事典「ウィキペディア」で同氏について説明したページを巡り、ADNOCから報酬を得たユーザーが、気候変動対策に後ろ向きな印象を与える記述を取り下げるよう編集側に働きかけていたと報じた。

 また、UAEがCOP28の首脳級会合にシリアのアサド大統領を招待したことも、人権団体などから新たな反発を招いている。アサド政権は、内戦での化学兵器使用や市民弾圧を理由に国際的に孤立してきたが、5月には地域機構のアラブ連盟へ12年ぶりに復帰を果たすなど、アラブ諸国との関係改善を進めている。

 英紙フィナンシャル・タイムズによると、英政府は、誰を招待するかは開催国の自由だとしつつも、「アサド政権との関わりには引き続き反対だ」との立場を表明した。国際人権NGOアムネスティ・インターナショナルは「(アサド氏が)気候変動という人道危機に対処することに少しでも関心を示すと想像するのは、悪趣味なジョークだ」と批判した。

 英国の気候変動シンクタンク「E3G」政策アドバイザーのトム・エ…

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