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政府が7日に示した経済財政運営の指針「骨太の方針」の原案では「労働市場改革」が柱として盛り込まれた。個人の能力を生かした転職や起業により成長産業への労働移動を促し、経済成長と賃上げにつなげたい考えだ。ただ、終身雇用など長年の雇用慣行は根強く、企業や個人の事情もさまざまだ。実効性確保には環境整備が不可欠となる。
発表された「骨太の方針」原案を識者はどう見たのか。話を聞いた。
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<実現性はあるのか>
賃上げで成長産業へ労働移動促す 骨太原案、問われる実効性確保
<財政健全化への道のりは>
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実効性高める努力を
■連合総合生活開発研究所・中村天江主幹研究員
政府はリスキリング(学び直し)により高賃金を得る循環を作るため、職務給(ジョブ型雇用)を導入し、労働移動を円滑化する労働市場の一体改革を掲げてきた。賃上げを実現するには、企業や労働者の取り組み状況を検証し、政策の実効性を高める努力がいる。
ジョブ型は、大企業のホワイトカラーや専門的な人材の確保に適した制度だ。しかし、ジョブ型だから高賃金とは限らない。非正規雇用は、職務限定で雇用は流動的だが、低賃金が長年の課題だ。労働組合がなく賃上げの仕組みが弱い中小企業は、導入の適否を見定める必要がある。
日本では転職すると賃金が下がる傾向にある。賃金増加をともなう転職を増やすには、高賃金の仕事を労働市場に増やす必要がある。方針原案では、高度専門職の能力開発プログラムを拡充し、海外と同等の賃金水準を目指すとしており、方向性は評価できる。
リスキリングは個人への直接支援を拡充させ、主体的なキャリア形成を後押しするメッセージを示した。ただ、フランスの調査では、直接支援の利用率が高いのはスキルのある人で、スキルのない人が取り残されない仕組みが不可欠だ。【聞き手・奥山はるな】
政府の姿勢を示した
■第一生命経済研究所・星野卓也主任エコノミスト
労…
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