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ウクライナ侵攻

ロシアによるウクライナへの軍事侵攻から1年。長期化する戦闘、大きく変化した国際社会の行方は……。

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クリミアの命運握るダム決壊 ウクライナ、ロシア双方の戦闘に影響か

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カホフカダムが決壊し、避難した地元住民=ウクライナ南部ヘルソン州で2023年6月6日、ロイター
カホフカダムが決壊し、避難した地元住民=ウクライナ南部ヘルソン州で2023年6月6日、ロイター

 ウクライナ南部ヘルソン州で6日起きたカホフカ水力発電所のダム決壊と洪水は、戦火を交えるウクライナ、ロシアの双方に影響を与える。破壊したのがどちら側かを巡って、情報戦も展開されている。

ウクライナ、反転攻勢の足かせに

 ウクライナが領土奪還を目指す今後の大規模な反転攻勢では、カホフカダムの決壊が前進の足かせとなりそうだ。

 ダムが決壊した南部ヘルソン州のドニエプル川沿いは、ダムを含む東岸側をロシア、川を隔てた西岸側をウクライナが押さえる構図となっている。

 ウクライナのゼレンスキー政権は、2014年にロシアが一方的に併合した南部クリミア半島を将来的に奪還することを目指している。そのため今回の反攻では、半島の孤立化を目指し、ドニエプル川東岸へ渡ってロシア占領地を南進し、ヘルソン州や南部ザポロジエ州の南端でクリミア半島の付け根一帯を制圧する可能性があるとみられていた。

 しかし、英紙ガーディアン(電子版)によると、今回の決壊でダム上部にあった道路が通行不可能となった。これにより、ウクライナ軍が対岸へ渡るのに使える舗装路は、ダム下流のヘルソン市に残るアントノフスキー橋だけになったという。また、英紙フィナンシャル・タイムズ(同)は、ロシアが占領する東岸側が洪水で車両通行が不可能となり、ウクライナによる水陸両用車での攻撃にも影響を与えると指摘した。

 米シンクタンク「戦争研究所」は6日付の報告書で、現時点で断定的な評価を下すことはできないと留保しつつ、「証拠や推論のバランスから、ロシア側が故意にダムを破壊したと見ている」と分析した。…

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【ウクライナ侵攻】

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