「デジタルから最も遠い教科だった」 国語で生成AI使う教師たち
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国語教師が対話型人工知能(AI)サービス「チャットGPT」など生成AIの活用に乗り出している。古典の作品を読んでAIの判断と生徒の感性を比べる授業に取り組んだり、オンライン勉強会を開いて授業法の研究を進めたりしている。専門家は「活用はさらに広がるだろう」とみている。
「うつくしきもの」生成AIと生徒たち
5月下旬、お茶の水女子大付属中学校(東京都文京区)2年生の教室。国語科の渡辺光輝教諭(46)が自身のパソコン画面をスクリーンに映し、古典「枕草子」を読む授業を進めていた。作中に出る「うつくしきもの」(かわいらしいもの)の表現から、清少納言の美意識を考える内容だ。
生徒たちには「自分がかわいらしいと思うもの」を作文にまとめてもらい、授業の冒頭で渡辺教諭が一人一人の回答を紹介した。
「ハムスターのあくび」「自分のしっぽを追いかける犬」「推し(好きなアイドル)がかわいい」……。
感性あふれる回答に、生徒からは笑いも起こったが、授業の本題はここからだ。「同じことをチャットGPTに聞いたらどう答えるだろう?」。渡辺教諭が生徒に課した内容と同じ文面をパソコンに入力した。
「一般論しか言わない?」
<小さなパンダの赤ちゃんが、木の上でひょいひょいと身軽に動き回っている姿。その手足のしなやかさと無邪気な表情は……>
瞬く間に打ち出されていくAIの作文に「おー」「すごい」と声を上げる生徒たちに対し、渡辺教諭は「AIと人間の答えは何が違うと思いますか?」とさらに問いかけ、グループごとに話し合うよう促した。
生徒たちは、「AIは一般論しか言わないんじゃない?」「人間の答えの方が個性があるよね」と自身や友人の答えとAIの文章を見比べながら、「かわいらしいもの」の判断基準を巡る議論に熱中した。
「どこかに突っ込みどころがある」
「推し」のアイドルやキャラクターに抱く感情からAIとの考えの違いを探った田上(たがみ)真緒さん(14)は「世の中で『かっこいい』と思われている人に対して自分は『かわいい』と感じることがある。多数派を想定したような意見を出すことが多かったAIからは、私のような答えは出てこないかもしれない」と話した。
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