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少女たちにささげるレスラーの闘い=川上珠実(ニューデリー支局)

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地元メディアの取材に応じる女性レスラー(中央)=インドの首都ニューデリーで2023年5月2日午前11時29分、川上珠実撮影
地元メディアの取材に応じる女性レスラー(中央)=インドの首都ニューデリーで2023年5月2日午前11時29分、川上珠実撮影

 短く髪を刈り上げた姉妹が通りを歩くと、近所の人々が眉をひそめて笑う。「女性は台所にいるのが一番」とされる村の中で、レスリングに打ち込む姉妹はばかにされる。男性の姿しかない村の試合場の使用も断られてしまう。

 2016年に公開され、全世界で興行収入340億円を突破したインド映画「Dangal(邦題 ダンガル きっと、つよくなる)」は、女子レスリングを題材にしたスポ根ものだ。しかし、リング外で少女らが直面する困難も随所で描かれている。

 元レスラーの父親マハビールは、息子をレスリングの金メダリストに育てるのが夢だった。しかし、授かったのは4人の娘。マハビールはあきらめきれずに一念発起し、娘たちを鍛えて夢を託す。

 モデルになったのは、北部ハリヤナ州の実在のレスリング一家だ。長女ギータ・フォーガットは12年にインド人女性レスラーとして初めて夏季オリンピックに出場し、妹たちも国内外の大会で活躍してきた。

 しかし、そんな女性たちの前にいま、新たな問題が立ちはだかっている。レスリング連盟代表で与党議員の男性が…

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