- ツイート
- みんなのツイートを見る
- シェア
- ブックマーク
- 保存
- メール
- リンク
- 印刷

今、福島第1原発の処理水放出を巡り、議論が起こっている。
僕は福島大学で4年を過ごした。人間不信だった僕は、福島の人々の温かさに触れ、自分が再生していくように感じた。福島は第二の故郷と思っている。だから今、とても悲しい。
作家の大江健三郎さんは、ずっと原発を危惧していた。でも福島にいた1990年代末、僕は「大丈夫では」と思っていた。正確に言えば、そう信じたかったのだと思う。この大丈夫と思いたい思考回路が、心理学で「正常化バイアス」や「公正世界仮説」と呼ばれ、社会の改善を失わせると知ったのは作家になってからだった。
時間が経(た)つと、何が真実だったかわかる。大江さんの危惧は残念ながら的中した。
この記事は有料記事です。
残り1338文字(全文1639文字)