孤独な脳は感受性を変える モノへの依存を避けるには
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コロナ禍が深刻化した2020年春ごろから、東北大学大学院教授(脳神経科学)の虫明元氏は、ある懸念を強めるようになった。日本は世界的に見ても孤立・孤独の問題が顕著だ。さらにコロナ禍で人と人とのつながりが希薄になれば、心身や脳の状態に悪影響をもたらすかもしれない――。
虫明教授は東北大学と宮城教育大学のチームを作り、大学生を対象に、どのような性格特性が孤立・孤独な状態に影響を受けやすいかを調べた。
次回「元犯罪者、元テロリスト…人生をやり直すための『希望の考古学』」は10月中旬ごろまでに掲載します。具体的な日程が決まり次第、この欄でお知らせします。
世界各地の研究でも、孤立・孤独は脳の活動にさまざまな悪影響を及ぼすとの指摘が数多くある。さまざまな結果を調べてみると、脳科学的観点から、いくつかの共通した傾向が見えたという。
その一つが、幸福感ややる気をもたらす神経伝達物質ドーパミンなどの「脳内報酬」の分泌に関する変化だ。本来は他者との交流など社会的な活動にも、モノを消費するなど即物的な活動にも分泌されるものだ。
だが孤立・孤独が進むと「人間関係からの脳内報酬への感受性が低くなり、逆に物質的なものに関する脳内報酬への感受性が高まることが分かりました」(虫明教授)。
生物としての防衛本能なのか、人間関係から心地よさを得られないと、…
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