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山口県警・山口南署副署長 田中はるえさん(50)
今春、県警初の女性副署長に就任した。これまでも度々「県警では女性で初めて」と言われ、初の女性警視になったときは、自分が失敗をしたら「女性警察官はやっぱりだめなんだ」と思われるというプレッシャーもあった。だが今は、女性初についてあまり意識はしていない。
ニュースで規制線などをみて「この内側にいる被害者らを助けたい」と思い、警察官を志した。女性が少なかった駆け出しの頃、女性用のトイレや仮眠場所などの設備は整っていなかった。女性警察官をひとくくりにした評価に孤独を感じることも。「自分は役に立てていない」と何度も痛感した。
捜査の役に立ちたい。下関署の留置管理課に勤務していたとき、外国人の集団密航問題に直面した。1999年、自分にできることを求めて通訳になることを決意し、その後、福岡県警察学校に入学。朝から晩まで中国語を猛勉強した。山口県警に戻ってからは通訳の任務を任される日々が続き、少し自信がついた。自分の強みで捜査の役に立とうと、さまざまな仕事に挑戦した。
「転職を続けているみたい」と言うように組織犯罪対策課では通訳、東京の警察大学校国際捜査研修所(当時)で中国語の教官、警部に昇任し山口南署では地域課長と、数々の役職を歴任。「立ち止まっていたら変化はない。やってみなければ分からない。二つの選択肢があるなら、ちょっと大変な方を選んでみる」。県警に入ってから気持ちはずっと「オン」の状態だ。
警察官の仕事はまだ道半ば。「女性だから」ではなく、1人の副署長として仕事内容に目を向けてもらえるようになりたい。「女性」という枠組みでの評価に息苦しさを感じるときは、「特別なことではない」と自分に言い聞かせ、できることに集中する。新人の頃、少数派だった自分が窮屈に感じていたことや違和感を、部下や若手に感じさせたくない。彼らが働きやすいを環境をつくり、組織を活性化させたい。自分にできることは何か。悩みながらも奮闘する日々だ。【小澤優奈】