救急医は「燃え尽き症候群」になりやすい?初調査で浮かんだ実態とは

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千葉県内の救命救急センター=2023年8月、渡辺諒撮影
千葉県内の救命救急センター=2023年8月、渡辺諒撮影

 急な体調の悪化で搬送される患者らを診る救急医は、バーンアウト(燃え尽き症候群)になりやすい。こんな研究結果が国内で初めてまとまった。新型コロナウイルス感染症や熱中症などへの対応に欠かせない救急医に、何が起きているのか。

燃え尽き症候群には三つの要素

 燃え尽き症候群は、極度の疲労に加え、感情が枯渇した状態とされる。

 具体的には、三つの要素がある。心理的エネルギーが出尽くした「情緒的消耗感」、患者を人間として扱わなくなる「脱人格化」、成果が出ないことに伴う「個人的達成感の低下」だ。

 米国では2019年、若手救急医の4人に3人がこうした症状を示しているとの調査結果が発表された。フランスの研究チームによる11年の研究結果では、救急医の離職や燃え尽き症候群が、他の診療科よりも多かったと指摘されている。

 ところが、国内ではこうした調査がなく、実態は分かっていなかった。

日本の救急医の実態は……

 順天堂大浦安病院救急診療科の森川美樹医師らの研究チームは、国際的に使われる質問票を使い、国内27病院の救急医326人を対象に調査を実施。21年6月時点で回答があった267人分を分析した。

 分析では、「患者を人ではなく『物』のように扱っていると感じる」など22の質問への回答から点数を算出し、「軽症」「中等症」「重症」の疑いに分類した。

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