米、イランと「囚人交換」 60億ドル資産凍結解除、人道取引に利用

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米国の国旗=ゲッティ 拡大
米国の国旗=ゲッティ

 米イラン両政府は18日、イランで拘束されていた米国人5人と、米国内で起訴されたり、有罪判決を受けたりしていたイラン人5人の「囚人交換」を実施する。両国は合意の一環として、韓国内で凍結されていたイラン資産60億ドル(約8800億円)をカタールの口座に移し、人道的な取引にだけ利用できるようにするという。イランの核開発問題に関する協議再開に向けた地ならしとみられるが、イランに強硬姿勢をとる米国の野党・共和党は強く反発している。

 合意は、イランとの間で「イランで不当に投獄された米国人5人」を安全に米国に帰還させる代わりに、米国は非暴力犯罪で有罪判決を受けて服役中の2人と起訴されて裁判を待っている3人を解放するとの内容だ。米政府高官は18日、「すでに米国人5人は解放され、飛行機でイランからカタールのドーハへと向かっている」と明らかにした。

 カタールの口座に移された60億ドルは、韓国政府が数年前に原油を購入するためにイランに支払ったもの。使途は食料品や医療品など人道目的に限られており、それ以外に使おうとすれば資金を封鎖するために行動するという。

 ただ、イランのライシ大統領は米NBCテレビのインタビューで「人道目的というのは、イラン国民が必要とするものであれば何でもという意味だ」と話しており、別の目的に使用される懸念は残る。

 取引については、共和党の保守派が批判を強めている。大統領選の党候補指名争いに立候補している南部フロリダ州のデサンティス知事は「イランの恐喝と強要に屈している」、スコット上院議員は「バイデン大統領はテロリストへの送金癖を直せないようだ」と、それぞれX(ツイッター)に投稿した。【ワシントン西田進一郎】

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