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大相撲の幕下以下の力士には、自身の取組の他にも部屋でのちゃんこ番や十両以上の関取の付け人など、さまざまな仕事がある。関取と幕下以下の力士が同数の片男波部屋。開催中の秋場所で、慌ただしく働く若い2人の姿を追った。
秋場所初日の10日。白星スタートを切った序二段・玉天翔(18)は喜びに浸る間もなく、急ぎ足で帰り支度を始めた。「昼のちゃんこ番をしないといけなくて。10時までには部屋に戻らないと」。笑顔にも焦る気持ちがにじむ。
自身の取組があったのは午前9時37分。午後3時半ごろに予定されている兄弟子、十両・玉正鳳(30)の取組時刻から逆算したスケジュールだ。両国国技館と片男波部屋は同じ東京都墨田区で、徒歩で約15分の距離にある。午後には付け人の仕事のために国技館に戻ってくる。
部屋には同学年の序二段・玉の寅(17)も所属する。「玉天翔の方が先に取組が終わるので、昼のちゃんこ番なんです」と玉の寅が教えてくれた。
この日の夜は玉の寅がちゃんこ番で、その際に翌日向けのおかずを作るなどして時間の節約につなげている。
角界で関取になれる力士は一握りだ。秋場所の番付発表時は幕内42人、十両28人、幕下120人、三段目180人、序二段210人、序ノ口39人だった。多くの部屋では、幕下以下が関取の人数を大きく上回るが、片男波部屋(幕内1人、十両1人、序二段2人)と錦戸部屋(十両1人、序ノ口1人)は同数。幕下以下の方が少ない部屋はない。
現在力士4人の小所帯の片男波部屋で、玉の寅は2021年春場所に、玉天翔は1場所遅れて同年夏場所に、いずれも15歳で初土俵を踏んだ。角界入りするまで2人とも料理経験はなく、11年に入門したモンゴル出身の玉正鳳らから、ちゃんこの作り方をはじめ、仕事のいろはを学んだ。
玉の寅は「玉天翔は料理がうまい…
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