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青嵐の旅人

天童荒太さんの初の新聞連載小説。幕末・明治の激動期を、中央ではなく地方から、市井の人々の視点で見つめる物語です。

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青嵐の旅人

/234 天童荒太 高杉千明・画

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「それから左之助さんに、さぎのやの大女将(おかみ)からの言づてもございます」

 ヒスイがかしこまって告げた。「わたしたちが左之助さんに会う事は、秘していましたのに、大女将は神事を通して知り得たらしく……もし旅先で、左之助さんに会ったなら、どうぞいっぺんふるさとに戻られて、長年の苦労の汗を、霊泉のお湯で洗いにおいでんかな、と伝えてほしいと申していました」

「さぎのやの大女将が……嬉(うれ)しいのぉ。鷺(さぎ)の神様に誘うてもろうたみたいじゃ」

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