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金融庁は19日、中古車販売大手ビッグモーターによる自動車保険の保険金不正請求問題を巡り、同社と損害保険ジャパンに立ち入り検査に入った。顧客の車両を故意に傷つけて保険金を水増し請求するといったビッグモーターの不正や、損保ジャパンが不正を認識しながら取引再開に踏み切った経緯などを重点的に調査する。
19日午前、金融庁の検査官らが損保ジャパン本社(東京都新宿区)と、ビッグモーターで保険関連を統括する部門がある同社多摩店(東京都多摩市)に入った。
損保ジャパンなど損保大手3社は2022年1月にビッグモーターによる事故車両の修理代水増し疑惑を把握。同6月に事故車両をビッグモーターの修理工場に紹介する取引を停止したが、損保ジャパンだけは同7月に取引を再開した。同社の白川儀一社長は、不正疑惑を認識していながら取引を再開した責任を取り、今月8日に辞任を表明した。
損保ジャパンは過去に多数の出向者をビッグモーターに送るなど関係が深かったことから、金融庁は両社の「もたれ合い」の関係について集中的に調べる。また、親会社のSOMPOホールディングスを含めた内部管理体制についても調査する。検査の結果、保険契約者保護の観点から問題があったと判断すれば、業務改善命令などの行政処分を検討する。
一方、ビッグモーターは保険代理店の業務を営んでいるが、店舗の展示車両などを対象に虚偽の保険契約を結んだ疑いも出ている。金融庁は、保険代理店の登録取り消しなど厳しい処分も視野に検査する。
鈴木俊一金融担当相は19日の閣議後記者会見で「こうした事態が二度と起こらないよう実態を明らかにする。問題が認められた場合には、法令に基づき厳正に対処する」と述べた。
損保ジャパンは19日、「検査に真摯(しんし)に対応するとともに、お客さまの被害回復に努めてまいります」とコメント。ビッグモーターも、毎日新聞の取材に「検査に全面的に協力する」と話した。【杉山雄飛、高田奈実、平塚裕介】