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ウクライナ侵攻

ロシアによるウクライナへの軍事侵攻から1年。長期化する戦闘、大きく変化した国際社会の行方は……。

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バイデン氏「明日の侵略者を抑止するために」 国連総会で結束訴え

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ウクライナ支援で結束を訴えるバイデン米大統領=国連総会で2023年9月19日、ロイター 拡大
ウクライナ支援で結束を訴えるバイデン米大統領=国連総会で2023年9月19日、ロイター

 バイデン米大統領は19日、ニューヨークで開かれている国連総会の一般討論で演説した。「明日の侵略者を抑止するために、我々は今日のむき出しの侵略に立ち向かわなければならない」と述べ、ロシアの侵攻を受けるウクライナへの支援継続に向けて国際社会に結束を呼びかけた。

 バイデン氏は、主権国家の領土保全を約束した国連憲章の重要性を強調した。世界が長期化する侵攻に疲れることで、「ロシアはウクライナへの残忍行為が許されると信じている」と非難。「侵略者に譲歩して我々が国連憲章の基本原則を放棄すれば、各加盟国は自分たちが守られていると確信できるのか。ウクライナが切り刻まれるのを許せば、どの国の独立が保障されるのか。答えはノーだ」と訴えた。

 バイデン氏は中国との大国間競争についても言及し、「責任を持って管理しようと努める」と説明した。中国経済との切り離しを図る「デカップリング」ではなく、関係は維持しつつリスクを管理する「デリスキング」を目指していると改めて主張した。一方で、国際秩序の基となる法の支配を守るためには「(中国の)侵略や脅しを押し返す」と強調した。

 さらに、過剰融資が問題視されている中国主導の巨大経済圏構想「一帯一路」を念頭に、主要7カ国(G7)などが主導して途上国のインフラ整備を支援する枠組みもアピール。「グローバルサウス」と呼ばれる新興・途上国に向けて「我々は持続不可能な債務のわなを避け、労働者や環境、知的財産(の保護)に対して高い基準をもつプロジェクトを作り上げている」と語った。

 国連改革を巡っては、バイデン氏は昨年の国連総会の一般討論で、アフリカや南米、カリブ海諸国からの選出も含めた常任理事国と非常任理事国の増加への支持を表明している。今回の演説では改めてその支持を強調し「米国は多くの加盟国と真剣な協議に取り組んでいる。合意点を見いだし、これからの1年で進展させる」と述べた。

 気候変動問題では、北米や南ヨーロッパでの山火事やリビアでの洪水などを列挙。世界各地で報告される異常気象が「化石燃料への依存を減らして気候変動に強い世界を作ることに失敗した場合に我々を待ち受けている事態を物語っている」と指摘。「米国はこの危機を全人類にとっての存亡の危機と捉えている」と各国に気候変動対策での連帯を訴えた。【ワシントン鈴木一生】

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