まるで芸能人だけれど バレー選手を撮るカメラマンが見る「十字架」
毎日新聞
2024/12/23 19:00(最終更新 12/23 19:00)
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革張りの椅子に背中を預けながら、バレーボール男子日本代表前主将の柳田将洋選手は左手を頰に当て、こちらを見つめている。ユニホーム姿でなければ、芸能人と見まがうほどだ。
バレーボールのSVリーグ男子「東京グレートベアーズ(GB)」のホームページで、選手紹介コーナーに使われているポートレートだ。モノクロ写真を使っているため、別カットで表示されるチームカラーのピンクを使った背番号が映える。
撮影を担当するのはHIRO KIMURAさん(47)。人を写真に収める時の信念があるという。
「自ら挫折を作った」
「アウトライン、上っ面を撮らないということ。ただかっこいいところを撮らない。彼らの抱えているものを撮る。『十字架』を背負った人ほど美しい」
「十字架」と聞いて、ドキリとした。
HIROさんの撮影現場では、被写体をおだてたり、笑わせたりするような言葉は少ない。
「もちろんプロとしてやってますので、こういうポージングをしてくださいとか、自分たちのデータとして引き出しは持っていますので、その中で本人に合ったポージングや表情っていうものはリクエストさせていただく。ただ、それって正直言って誰でもできるんですよ」
被写体の本当の姿を写すには、自らがありのままでいる必要がある、という。
「僕の醸し出す空気、たたずまい、態度。そういったもので判断してもらうしかないんですよね。いくら言葉をかけても、僕、本物ですよって言ったって、そんなことは伝わらない。僕のあり方、生き方を感じてもらって初めて、心を通じ合えるようになってくる。言葉じゃないんです」
こうした撮影スタイルは、紆余(うよ)曲折を繰り返してきたHIROさんの人生と重なる。
幼少期にいじめを受けていた。自分を…
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