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イチから分かる「選択的夫婦別姓」 世界で“孤立”する日本

「選択的夫婦別姓」制度の導入に向けた法制審議会の答申を報じた1996年2月27日の毎日新聞のコピー 拡大
「選択的夫婦別姓」制度の導入に向けた法制審議会の答申を報じた1996年2月27日の毎日新聞のコピー

 夫婦が同じ姓となるよう義務づけられているのは日本だけ――。選択的夫婦別姓制度の導入を求める声が高まっている。30年近く「たなざらし」が続いていた国会での議論も動き出しそうだ。議論の現状と経緯を振り返る。【深津誠、川崎桂吾】

 選択的夫婦別姓の導入を求める人たちの声は長年、ないがしろにされる状態が続いている。

夫婦別姓を巡る主な動き① 拡大
夫婦別姓を巡る主な動き①

 日本での議論が本格化したのは、1985年の「女性差別撤廃条約」の批准や、86年の「男女雇用機会均等法」の施行がきっかけだった。96年には法相の諮問機関である法制審議会が、別姓制度を盛り込んだ民法改正要綱を作成。政府は要綱に沿った改正案の国会提出を目指したが、自民党内からの反対が相次ぎ断念した。

 その後も国会では法制化の機運が高まるたびに、反対派・慎重派に抑え込まれる流れが続いた。背景には、夫婦同姓を「日本の伝統」と捉えている宗教法人「神社本庁」による反対派・慎重派議員への働きかけがあったとされる。

夫婦別姓を巡る主な動き② 拡大
夫婦別姓を巡る主な動き②

 導入を求める声は根強く、訴訟も起こされてきた。最高裁は2015年に夫婦別姓を認めない民法などについては「合憲」と判断した。一方で「国会で論ぜられ、判断されるべき事柄」とも指摘しており、国会での議論を促した形だ。

 近年に議論が再燃しているのは、女性の社会進出を背景とした経済的な側面からの要請も大きい。経団連は24年6月、ビジネス上での不都合が多いことなどから、制度の早期導入を求める提言を公表した。また、国際社会の目も厳しさを増している。国連の女性差別撤廃委員会は24年10月、制度導入を求める勧告を出した。勧告は4度目だ。

 導入を求める声の高まりに比して、反対派・慎重派も強く論陣を張っている。日本における選択的夫婦別姓はいつ実現するのか。石破茂首相(自民党総裁)は2月の参院本会議で、選択的夫婦別姓制度の導入について「いつまでも結論を先延ばしにしていい問題とは考えていない。党としての考え方を明らかにすべく議論の頻度を上げ、その熟度を高めていく」と述べている。

夫婦別姓を巡る主な動き③ 拡大
夫婦別姓を巡る主な動き③

姓の選択「国際的には人権として確立」

 選択的夫婦別姓の導入を求める集団訴訟の弁護団は2月、各国の法制度に関する調査結果を公表した。かつては夫婦同姓しか許さなかった国もあるが、現在は確認できた95カ国すべてで夫婦別姓が可能だという。弁護団は「夫婦同姓を強制するのは、もはや日本だけになっている」と訴えている。

 調査結果によると、95カ国のうちフランスや韓国、中国など33カ国は夫婦別姓を原則としている。残りの62カ国は夫婦同姓と、別姓をどちらも選択することが可能だ。女性差別への意識が高まった1970年代以降、別姓を認める国が増えたという。

 アメリカでは76年、夫婦同姓を義務づけていた「最後の州」であるハワイ州で夫婦別姓が可能になった。フィンランドでは抵抗も強かったが、85年に別姓が選べるようになった。

各国の別姓制度の導入状況 拡大
各国の別姓制度の導入状況

 タイでは2003年、夫婦同姓制度に違憲判決が下され、05年から別姓が可能になっている。トルコでは15年に別姓が選べるようになった。当初は家庭裁判所への申請手続きが必要だったが、23年に違憲とされ、別姓を選ぶ自由度が高まったという。

 調査に携わった弁護団の橘高(きったか)真佐美弁護士は「婚姻前の姓を保持することは、自己決定権の一つであり、国際的には人権として確立されている。選択的夫婦別姓は世界的な潮流であり、日本でも早期に実現すべきだ」と話している。

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