何も選べない半生だった。不登校とひきこもりを経験し、アルバイト先を探すのも苦労した。結婚や出産は「悩むスタート地点」にも立てないまま、中高年と呼ばれる年齢になっていた。「みんなと同じように頑張っているのに、どうしてうまくいかないのだろう」。戸田優子さん(45)=仮名=が生きづらさの背景に気付いたのは、ごく最近のことだ。
若者の「ひきこもり」が初めて社会問題化し、就職氷河期を経験した40、50代。未婚の人の割合が増え、女性の社会進出で晩産化も進みました。中高年世代の生きづらさを考える記事を21日(各回午前6時半公開)まで連日掲載します。
19日 氷河期世代の男性
20日 ダブルケアに直面する女性
21日 <前編>レールから外れた女性
21日 <後編>中高年で発達障害が判明
「レールを外れてしまった」
倉庫が職場になることが多い。昨年は、アパレル会社の倉庫だった。紳士服を1着ずつ透明の袋に入れて、商品タグを貼り付ける。
「やりがいは感じない。でも、少しは頭を使う仕事なだけまし。この服にはこの大きさの袋が合う、と考えるから」
その前は和装店の倉庫で、かんざしに値札のシールを巻き付ける仕事をしていた。1日7時間、同じ作業の繰り返し。途中で自分が何をしているのか分からなくなり、「気が狂いそうだった」。
いずれも障害者として雇用されたアルバイトだ。最低賃金で働き、月収は6万円ほど。他にもビジネスホテルや老人ホームの清掃の仕事を転々とする。
「私はレールを外れてしまったから、仕事は選べないし、貧困からも抜け出せない。もう諦めています」
戸田さんが「レールを外れた」と思うのは、不登校を経験した時からだという。
「登校拒否」と呼ばれた時代
3歳で重い病気になり、入退院を繰り返した。小学校に入る前に治療は終わったが、体は疲れやすく、母親からよく学校を休むように言われた。水泳や遠足は不参加。クラスになじめず、いつも一人だった。
小学5年の夏休み明けから、学校に行かなくなった。はっきりとした理由は、自分で…
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