トランプ氏が愛用する「貿易戦争の武器」関税 役割と歴史とは?
「タリフマン(関税の男)」を自称するトランプ米大統領は、1月の就任以来、日本を含むあらゆる国の製品を対象に追加関税を表明し、順次発動している。米国に対し、中国や欧州連合(EU)などが報復関税を打ち出すなど応酬も激化している。「関税」とは何のためにあるのか。
関税の三つの役割
関税は、海外からの輸入品に課される税。対象となる商品は食料品や金属、自動車などさまざまだ。通常は輸入者が輸入国の政府に納める。輸入者が払った税金は、最終的に消費者が支払う価格に上乗せされることになる。
関税の役割の一つ目は、収入を国の財源とする機能だ。ただ、経済の発展している国では法人税や所得税など他の税制の整備が進んでいることから、関税の財源としての重要性は低くなっている。日本も国の税収に占める関税の割合は1%程度だ。
二つ目の役割が、国内産業を保護する機能だ。関税をかけることで輸入品の価格が上がるため、国産品が競争上優位になる。日本政府も▽牛肉38・5%▽ソーセージ10%▽チーズ22・4~40%▽毛皮のコート20%▽クッキー13~20・4%――など農産品や競争力に乏しい分野を中心に関税をかけている。主食であるコメは、政府が無関税で年77万トン輸入する一方、民間事業者による輸入には1キロ当たり341円の関税がかかるなど、独特のルールがある品目も多い。
一方で自動車やパソコン、デジタルカメラ、腕時計、ピアノ、書籍などは関税はかからない。輸入品に負けない競争力があるとの判断からだ。
三つ目の役割が、他国との貿易で損害が生じた場合の対抗策として関税を使う制裁機能だ。国際ルール上、商品を不当に安売りする不当廉売(ダンピング)をしたり、輸入国に損失を与える補助金を出したりする国に関税で対抗できるようになっている。
世界恐慌までさかのぼる高関税の歴史
他国から入ってくる商品に高い関税をかけるのは、トランプ政権が初めてというわけではない。歴史は世界が景気悪化に陥った「世界恐慌」の時代にまでさかのぼる。米国は自国産業を守ろうと1930年に輸入品に高関税をかける法律を成立させた。一方、英仏などは植民地との間の貿易では関税を引き下げ、米国などに対しては高関税をかけることで対抗した。各国の保護主義政策の応酬が第二次世界大戦勃発の一因になったともいわれている。
その反省か…
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