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旅するように生きてみたら~人生折り返し地点の選択~
第21回(最終回) 「旅するように生きて、得られたこと、失ったこと」
2017/3/10 16:05 4215文字私はいま、台湾の高雄にいる。数カ月前に台湾を仕事で訪ね、「また近いうちに戻ってくるだろう」と、なんとなくは思っていたが、実現するのは案外、早かった。 台湾人の友人夫婦が、長期旅行で1カ月、自宅マンションを空けるというので、現在、そこを借りて住んでいる。かつて一緒に暮らしたこともある夫婦で、「勝手
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第20回 「旅するように生きるために必要なこと」(2)
2017/2/24 19:45 5255文字私がリアルに、「旅するように生きたい。もしかしたらできるんじゃないか」と思ったのは、うんと昔、ある有名作家の旅エッセーを読んだことがきっかけだった。「エーゲ海の島々を転々としながら、本を書いている人がいる」という事実は、私の人生が根底から変わるほどの衝撃であり、ずいぶん図々しいことではあるが、それ
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第19回 「旅するように生きるために必要なこと」(1)
2017/2/10 12:51 3844文字「私は、だれからも必要とされていないのではないか……」 初めて、会社に属さず、だれに寄りかかることもなく、フリーランスとして旅するように生きていこうと決めたとき、あまりの恐怖と孤独で、夜中に目覚めることがあった。30代に突入したころのことだ。それまで私は、いまでいえば「ブラック」と呼ばれるであろう会
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第18回 「二つの住処をもって、飛行機で往復する」(2)
2017/1/13 16:05 4368文字今回の年末年始は東京でずっと本を書いていた。年末らしいことといったら、同じシングル仲間の家に行って鍋をつつきながら、紅白歌合戦を見たことぐらい。そのあと、友人と近くの東京大神宮に行くと、参拝客で長蛇の列ができていた。都心は閑散としていると思われたのに、人がいるところにはいるもんだ。たくさん配置され
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第17回 「私たちには〝恵み〟がある~ちいさな集落の、ちいさなお祭り」(2)
2016/12/30 00:00 3400文字みんな張り切っていた。まるで意味もなく学園祭に熱くなる若者みたいに、ちいさな集落のちいさなお祭りをやっている私たち中高年は元気だった。「青春とは、こころの若さである」とはよくいわれるが、60代から80代のおじちゃん、おばちゃんの生き生きとした笑顔は、まさに青春まっただなかだ。……とは、ちょっと言い
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第16回 「私たちには“恵み”がある~ちいさな集落の、ちいさなお祭り」(1)
2016/12/16 10:56 3445文字鹿児島県と宮崎県の県境にある、湧水町のちいさな集落に「みんなげー(みんなの家)」をつくり、友人たちと集うようになってはや10カ月。平均年齢70 歳をとうに超えている地元の人たちとの距離は、そろりそろりとではあるが近づきつつあった。 そんななか、みんなげーの仲間、めいさんが「稲刈りが終わったら、ここ
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第15回 40代で台湾に留学し、働き、生活していた日々のこと
2016/12/2 11:51 5315文字「やっぱり私はここが好きだ」 毎度のことながら、台湾に着いた途端、思う。 今回やってきたのは、かつて留学していた大学院のゼミで講義をするためで、2年ぶりだろうか。時間がたつにしたがって、その“好き”は確信になり、「あんなに好きだったのに、どうして離れてしまったのだろう」と、別れた恋人を懐かしむ歌みた
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第14回 親との時間、家族との時間について改めて考える
2016/11/18 16:54 4767文字「おふくろが家のなかで転んで動けなくなっているんだ。ちょっと帰ってきてくれない?」 母と同居している弟から電話があった。土曜日だったが、お嫁さんは仕事、弟も午前中は、仕事関係で英語のテストを受けなければいけないという。「え? そうなの? いま、東京だよ」というと、「なんだ、鹿児島にいるかと思った。じ
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第13回 近未来的なライフスタイル!? 屋久島で暮らすIターンの人びと
2016/11/4 17:36 5513文字鹿児島本港から高速船で2時間弱。世界遺産の島「屋久島」に1泊2日で行ってきた。 樹齢3000年、4000年……すごいものは7000年以上もの屋久杉が、大いなる自然と共生しながら息づいている神秘的な島だ。 屋久島でローフードのセミナーを度々開いている料理研究家の友人、メイさんから「屋久島はIターンの
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第12回 田舎の「みんなげー」で地元の人たちと大宴会
2016/10/21 15:00 2850文字田舎の廃虚をリノベーションした住処「みんなげー(みんなの家)」で、ときどき暮らしはじめて8カ月。数日前、地元の人たち30人ほどに集まってもらって、わいわいと宴会をした。 いつかみんなと、みんなげーでゴハンを食べたいと思っていた。イサオシェフたちがつくってくれた家もお披露目したかった。「ひゃあ、つ
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第11回 二つの住処をもって、飛行機で往復する(1)
2016/10/7 13:32 3885文字夏になったころ、私は田舎の家のほかに、仕事をするためのもうひとつの住処(すみか)をもった。 場所は、東京近郊のとある町だ。今年の2月に都心から鹿児島に引っ越し、半年もしないうちに、また東京というのも、出戻りみたいで少々恥ずかしい気もするが、ここ数カ月は毎月1、2度、鹿児島と東京を飛行機で往復する暮
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第10回 病気になってわかったこと。「生きているだけで幸運。笑顔になれたら最高」
2016/9/23 16:16 3871文字書こうかどうか迷ったけど、やっぱり書くことにする。 昨年末のこと、突然、病気を発症した。五十肩なのか、更年期障害なのか、あちこちが痛かったり、熱っぽかったりすると思っていたら、「関節リウマチ」という膠原(こうげん)病の一種であった。「リウマチは自分で自分を壊してしまう病気です」 最初に行った整形外
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第8回 地方で見つけた「楽しんで続ける」の社会貢献(2)
2016/8/26 11:39 3247文字最初に「神田亭」を訪れたとき、「こんな青年がいるなんて……」と心底、感動してしまった。料理やおもてなしもすばらしいのだが、いちばんは神田亭の主人、神田くんの心意気……いや、“愛”だ。彼の取り組みを見て、お金と時間のつくり方・使い方について改めて考えさせられた。さまざまなものに“愛”をかけ、お金や時
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第7回 地方で見つけた「楽しんで続ける」の社会貢献(1)
2016/8/12 17:00 3604文字私の地方の拠点「みんなげー(みんなの家)」に集まる人たちは、なんらかの形で社会貢献に関わっている。たまたま私のまわりだけなのかもしれないし、そんな余裕のある年代になったからなのかもしれない。都会とか地方とかに関わらず、昔からやっていた人はやっていたことかもしれない。が、ひとついえるのは、日々の暮ら
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第6回 いくつになっても自分の足で立つために
2016/7/29 13:00 3416文字田舎で暮らし始めて、もっとも感動したのは、元気に働いている女性たちの姿だった。といっても、若い女性たちではない。ほとんどが70代80代の1人暮らしの高齢者。いや、高齢者と呼ぶのは失礼なほど生き生きとして明るく、自分の足で立ち、自分の暮らしを自分で支えているカッコいい女性たち……。 私は、つねづね本
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第5回 自然と共に生きることは、脅威と感動と学びと……
2016/7/15 15:00 2909文字自然のなかで暮らすことは、ひとつの”ホラー”である、と思う。かなりの頻度で、背筋がゾクリと凍りつくような光景に遭遇する。就寝中にふと気づくと、えたいのしれない虫が顔面をもぞもぞ動いていること。テーブルの上を、ちいさなカエルがぴょんぴょんと横切ること。納戸を開けるとクモの巣が張り巡らされていること。
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第4回 田舎の人間関係はうっとうしい? それとも、あたたかい?
2016/7/1 16:00 3740文字田舎の、いわゆる”人付き合い”というものは、あいさつまわりから始まった。ここは、おもに60代から80代が長年、暮らす十数軒の集落である。「新入りはまず、あいさつまわりをすることが大事!」と、となりのレストランのご夫婦に事前指導を受けていたので、私は手土産にプリントの入った手ぬぐいを準備した。引っ越
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第3回 「カーサ・みんなげー」に関わる人びと。
2016/6/17 16:00 3058文字「この家は『みんなの家』という名前にしよう」 家をつくろうと決めた直後、まるで天からのお告げのようにそう思った。理由はよくわからない。へんな策略があったわけでもない。ただ「ここはみんなでつくり、みんなで楽しむ、みんなの家だ」という“大人の遊び場”のようなイメージがすぐにわいてきた。「みんなのおかげで
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第2回 東京暮らしと、ちいさなイタリア村との出会い
2016/6/3 15:00 2504文字都会暮らしに不満はなかった。むしろ、満足していた。 世界トップクラスのプロフェッショナルが集まり、経済や政治、世論を動かしている東京という街は、たいへん魅力的だ。そこでの出会いによって、つぎつぎと人生の扉が開かれてきたと思う。 生活にしても、求めればすぐに質のいい物やサービスが手に入り、徒
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第1回 都心から過疎の町に引っ越したワケ
2016/5/20 15:00 3168文字まさか私がこんな暮らしをするなんて、夢にも思わなかった。 アラフィフ、独身、子どもなし。物書きをなりわいとし、レインボーブリッジが見えるマンションで、便利で、刺激的で、気ままなアーバンライフを送っていたわたくしが180度生活を転回した暮らしを始めるなんて……。 現在、目の前の庭では、生まれたばか
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