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ことばの五感

  • 水と空気の問い=川野里子

     台風が去った朝、これが本当に水と空気の仕業か、と驚く。瓦が飛び、塀が倒れ、公園の樹木がことごとく折れている。猛烈な雨と風、つまり液体と気体に襲われたのだ。 私…

  • 乳房という灯=川野里子

     草原に火を芯として建つ包(パオ)のひとつひとつが乳房のかたち 大森静佳 友人が乳癌の手術をしてから二十年が経った。生きのびてくれたことが嬉しい。 温存手術はま…

  • 不安で出来た世界=川野里子

     原不安(げんふあん)と謂(い)ふはなになる 赤色(せきしよく)の葡萄液充つるタンクのたぐひか 葛原妙子      * 天井から水が滴ってきた。ついに。二階にあ…

  • 国境を越える心=川野里子

     つねにしてこころのおくにひそむこゑ「はやくかへらう どこへかへらう」 村木道彦      * Iさんのことを思い出す。母の親友だったIさんは大連で生まれ少女時…

  • 出汁引く女たちへ=川野里子

     「ようございましょ」、と出汁を一口啜(すす)ったNおばあちゃんが威儀を正して言う。久々に聞いたその言葉が染み込むように懐かしかった。 父母が亡くなり空き家にな…

  • 青人草と草の名前=川野里子

     新緑が眩(まぶ)しい。 以前、ある短歌大会の題に「草」を出したところ例年の二倍もの作品が集まり驚いた。大半が草毟(くさむし)りを詠(うた)った作品であった。毟…

  • 永遠の場を探して=川野里子

     お墓が見つからない。ここでいい、と思える場所がないのだ。 母が亡くなって一年が過ぎ、遺骨をどこかに納めねばならない。田舎に家族の場所と決め、父が作った墓がある…

  • 「網棚」が消えたら=川野里子

     最近電車の網棚があまり使われていない。理由はさまざまだろう。朝夕のラッシュ時には、荷物を網棚などに置いたら取れなくなる。そもそも網棚に手が届かない。しかし比較…

  • 郷愁にできぬ問い=川野里子

    魚獲るとベン・ハイ川に撃たれたる兄を曳きもどる少年の舟 坪野哲久 この歌の作者が坪野哲久であることを知ったのはつい先日のことだ。だが、この歌は若い頃から記憶に残…

  • 泡に閉じ込めた心=川野里子

    はるかなるひとつぶの日を燭(しょく)としてぎんやんま空にうかび澄みたり 高野公彦 水準器のことを思う。液体の入った硝子(ガラス)のなかに一粒の泡が入っていて、そ…

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