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ジャーナリズムを、聞きたい
オウム追及の江川紹子さん 新聞記者時代の「二つの体験」大きな糧に
2021/1/31 05:00 3051文字ジャーナリストの江川紹子さんは、1982年に神奈川新聞社に入社しました。定期採用された初めての女性記者でした。 当時の神奈川新聞の新人記者は、まず校閲部に配属されることが通例でした。校閲という新聞制作に欠かせない仕事を通じ、事実を正確に伝える大切さや新聞の用字用語、文章のスタイルを学び、原稿の締め
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ジャーナリズムを、聞きたい
成田→パリ「16時間密着」も 鳥越俊太郎さん、ハマコーさんとの「格闘」
2020/12/27 05:00 3135文字浜田幸一さんという国会議員として、またその後はタレントとして一世を風靡(ふうび)した人物がいます。千葉県の選挙区から衆院議員当選7回を重ねました。その選挙地盤は今、息子の浜田靖一・衆院議員が継いでいます。「ハマコー」の愛称で親しまれ、その破天荒な言動で数多くの騒動、事件を巻き起こした浜田さんと報道
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ジャーナリズムを、聞きたい
マスコミとも闘った「イエスの方舟」報道 鳥越俊太郎さんが学んだ「踏みとどまる大切さ」
2020/12/20 05:00 3433文字今回から、鳥越俊太郎さんがサンデー毎日編集部時代に取り組んだ報道について見ていきます。最初は、1980年前後に社会の大きな関心を呼んだ「イエスの方舟」事件です。 「イエスの方舟」とは、千石剛賢氏(2001年に78歳で死去)が主宰した聖書研究会をルーツとし、当時は東京都国分寺市を中心に布教活動してい
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ジャーナリズムを、聞きたい
鳥越俊太郎さんの原点 「アメリカと闘った」大森実さんの残した大きな足跡
2020/12/13 06:00 3098文字ジャーナリズムを探す旅を続けています。2019年1〜4月は「平成の事件ジャーナリズム史」、20年1〜4月は「令和のジャーナリズム同時代史」をそれぞれ連載してきました。今回は、ジャーナリストたちの活動を振り返りながら、その思いや経験を聞く連載を始めます。最初に登場してもらうのは、「ニュースの職人」と
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令和のジャーナリズム同時代史
(最終回)ジャーナリズムを探す旅路
2020/4/5 05:00 3785文字この連載は、事件や災害時の実名報道のあり方を入り口に、令和という時代を手がかりにして、インターネット時代のジャーナリズムの現状と課題について考えてきました。最終回となる今回は、将来のジャーナリズムの姿を展望します。 英「エコノミスト」誌2011年7月9日号は、「未来のニュース」をテーマに特集しまし
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令和のジャーナリズム同時代史
(12)記者が「見られる」時代に
2020/3/29 05:00 3045文字2020年3月14日午後6時、私は自宅のテレビの前で緊張していました。改正された新型インフルエンザ等対策特別措置法について、安倍晋三首相の記者会見が中継されていました。新型コロナウイルス対策をめぐる安倍首相の会見は2月29日に続くものでしたが、この時の会見に対し、「記者会見ではなく政府発表だ」との
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令和のジャーナリズム同時代史
(11)「動画革命」がもたらしたもの
2020/3/22 05:00 3098文字スマートフォンと「4G」という新しい通信環境がもたらした大きな果実が「動画」です。今、通勤電車の中でスマホで映画を見る姿が当たり前になり、スマホで撮影した動画は瞬時にソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)に投稿できます。しかし、こうした手軽さは、ほんの数年前には考えられないことでした。動
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令和のジャーナリズム同時代史
(9)「ポスト・ヤフーの時代」とメディア
2020/3/8 05:00 2983文字2019年11月18日、ヤフーとLINEの経営統合が正式に発表されました。ヤフーを展開するZホールディングスの川辺健太郎社長はLINEのシンボルカラーの緑色のネクタイ、LINEの出沢剛社長はヤフーのシンボルカラーの赤色のネクタイをそれぞれ締めて、がっちりと握手をしました。この経営統合を私は日本経済
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令和のジャーナリズム同時代史
(8)ヤフーと新聞
2020/3/1 05:00 2722文字ヤフーと新聞業界の売り上げの推移を比べると、新聞業界が受けた影響の大きさがわかります。今から約20年前の1998年、新聞業界の売り上げは2兆4900億円ありました。それが2018年は1兆6619億円となり、8000億円以上も減らしています。これに対し、ヤフー(現在の社名はZホールディングス)は19
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令和のジャーナリズム同時代史
(7)巨大プラットホーム・ヤフーとメディア
2020/2/23 05:00 2378文字ヤフージャパン(ヤフー)は、日本の中では群を抜く巨大なプラットフォームです。そして、その柱であるヤフーニュースは月間ページビュー(PV)数150億(2016年8月に過去最多を記録)という日本最大のニュースサイトです。1996年7月にサービスが始まりました。現在の配信パートナーは約350社、500媒
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令和のジャーナリズム同時代史
(6)実名報道を考える解体的な議論を
2020/2/16 05:00 2555文字京都アニメーション(京アニ)放火殺人事件の報道のあり方をめぐっては、昨年9月に高知市で行われたマスコミ倫理懇談会全国協議会の全国大会で、京都新聞と毎日放送の記者から詳しい報告が行われました。事件の報道の経緯について、その報告を中心にたどってみます。 京アニが社長名で被害者の実名公表を控えるよう京都
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令和のジャーナリズム同時代史
(5)匿名発表で隠されるもの
2020/2/9 05:00 2334文字匿名発表の波は、警察だけでなく他の官庁や地方自治体へと広がり続けています。氏名は、取材の起点であり、真実を解明するための最初の入り口です。危機感を抱いた日本新聞協会は、2003年度から在京社会部長会が主体になって、匿名発表の現状把握とその背景について調査を始めました。08年度からは各社の編集局長で
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令和のジャーナリズム同時代史
(4)桶川ストーカー殺人事件の重い教訓
2020/2/2 05:00 2730文字桶川ストーカー殺人事件は、メディア、警察、司法行政に深い自省と大きな転換を迫った衝撃の事件でした。メディアは警察取材や被害者報道のあり方に猛省を迫られるとともに、被害者報道の意義も改めて学ぶことになりました。警察はその無気力捜査と隠蔽(いんぺい)体質を厳しく問われ、3人の警官が懲戒免職、書類送検さ
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令和のジャーナリズム同時代史
(3)メディアスクラムは、なぜ起きたのか
2020/1/26 05:00 2502文字「メディアスクラム」という言葉が広く使われるようになったのは、1990年代に入った頃でした。もともとは、イギリスやカナダなどで政治家などを囲んで行われる即席の記者会見を指す言葉だとされています。このため、海外ではメディアが団結して権力と対峙(たいじ)する意味が込められ、ジャーナリズムにとっては肯定
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令和のジャーナリズム同時代史
(2)氏名公表求める投稿にネットの批判が殺到
2020/1/19 05:00 2604文字そのツイートを投稿したのは、「2013年1月21日23時44分33秒」と記録されています。「亡くなった方のお名前は発表すべきだ。それが何よりの弔いになる。人が人として生きた証しは、その名前にある。人生の重さとプライバシーを勘違いしてはいけない」。菅義偉官房長官の深夜の記者会見をテレビで見て、その感
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令和のジャーナリズム同時代史
(1)はじめに 岐路に立たされた令和のジャーナリズム
2020/1/12 05:00 2106文字昨年1月から4月まで、平成の最後に15回にわたって「平成の事件ジャーナリズム史」を連載しました。平成はジャーナリズムの姿が劇的に変わった時代でした。記者が執筆する姿をみても、手書きの原稿がワープロ通信、パソコン通信へと変わり、写真もフィルム現像からデジタルへ、そして、スマートフォンが登場し、動画発
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平成の事件ジャーナリズム史
(15)「権力とメディア」「インターネットネットとメディア」 そして情報リテラシーの向上のために
2019/4/28 05:00 2999文字連載もいよいよ今回で終わりです。最終回は「権力とメディア」「インターネットとメディア」について改めて考えながら、ジャーナリズムの今後についても展望します。 1999(平成11)年、新聞界は霞が関からの突然の通告に大騒ぎになりました。「行政命令で事前に記事を差し止める」という驚くべき発言が官僚の口か
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平成の事件ジャーナリズム史
(14)フェイクニュース感染症
2019/4/21 05:00 2517文字後から振り返ってみた時、その年が時代を画していたとわかる年があります。天安門事件が起き、ベルリンの壁が壊された平成最初の年、1989年もその代表のひとつでしょうか。ジャーナリズムの観点からみる時、2016(平成28)年は最重要の1年として位置づけられると私は考えます。2016年はまさにフェイクニュ
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平成の事件ジャーナリズム史
(13)神戸・須磨の連続児童殺傷事件、大津いじめ自殺事件、川崎・中1生徒殺人事件--さらされる実名と顔写真
2019/4/14 05:00 2393文字1997年5月、「日本列島を震撼(しんかん)させる」という表現が決して月並みでも過剰でもない衝撃の事件が起きました。神戸市須磨区で小学6年の男児が殺害され、切断された男児の頭部が中学校の校門に置かれたのです。しかも、頭部は刃物で残忍に傷つけられたうえ、口には「酒鬼薔薇聖斗」を名乗る人物の犯行声明文
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平成の事件ジャーナリズム史
(12)秋葉原無差別殺傷事件 ネットで犯行予告、通行人が惨劇撮影
2019/4/7 05:00 2496文字逮捕された容疑者の供述は、事件を解明する最大の手がかりです。私たちメディアも供述の内容をつかもうと懸命に取材します。容疑者を取り調べている捜査員にも話を聞きに行きます。厳しい箝口(かんこう)令がしかれ、話してもらえることはほどんどありませんが、それでも諦めずに続けます。取調官から報告が上がる捜査幹
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