
侵略的外来種などの研究で知られる五箇公一さんが生き物に関するあれこれをつづります。
-
ダニ先生、上皇さまから「とっておきの話」
2023/3/22 10:00 1321文字天皇陛下に直接ご説明をする機会は、たとえ著名人であってもめったにないもの。国立環境研究所生物多様性領域生態リスク評価・対策研究室長の五箇公一さんが、とっておきの話を明かしてくれました。 このコラムの第1回で紹介したのは、まだ天皇在位中の上皇ご夫妻に、ダニのコンピューターグラフィックス(CG)を献上
-
春の風物詩がもたらす恵みと迷惑
2023/2/22 10:00 1304文字春の風物詩といえば何を思い浮かべるでしょうか。国立環境研究所生物多様性領域生態リスク評価・対策研究室長の五箇公一さんは長年、ある風物詩に悩まされてきました。しかし、地球の生態系には欠かせないともいいます。その恵みと迷惑を考えます。 富山市内に住んでいた子どものころから、毎年この季節になると、鼻詰ま
-
ダニも人間も… 異常な密が病気を呼ぶ
2023/1/25 10:00 1366文字新型コロナウイルス禍が始まって3年がたちました。なぜ感染症は拡大するのでしょうか。異常な密による生態系のバランスの崩れがカギになるのではないかと、国立環境研究所生物多様性領域生態リスク評価・対策研究室長の五箇公一さんは指摘します。 このコラムで何度も紹介しているが、筆者は元々ダニ学者である。大学生
-
生態系おびやかす外来種問題 寄生虫の世界にも
2022/12/21 10:00 1374文字日本固有の生態系を脅かす外来種が各地で問題になっていますが、持ち込まれる外来種本体だけでなく、それに寄生する生物でも同じことが起きているようです。ダニ研究者として知られる国立環境研究所生物多様性領域生態リスク評価・対策研究室長の五箇公一さんが解説します。 先日、オオサンショウウオから新種の寄生虫が
-
知らず知らずに忍び寄る 赤い羽のオンブバッタ
2022/11/23 10:00 1316文字大きなメスに小さなオスが乗っかる姿がおなじみのオンブバッタ。そんな身近な生き物にも、外来種の影が忍び寄っていると、国立環境研究所生物多様性領域生態リスク評価・対策研究室長の五箇公一さんは指摘します。 先日、兵庫県伊丹市に分布している外来種アルゼンチンアリの現地調査に赴いた。 アルゼンチンアリは、こ
-
-
あのやっかいな感染症も DNAで探る生物の過去
2022/10/26 10:00 1361文字ネアンデルタール人由来の遺伝子を、現代人も受け継いでいる――。そんな研究が、今年のノーベル医学生理学賞に輝きました。過去の生物の遺伝情報をたどる研究は、人間以外の動物でも進んでいるようです。国立環境研究所生物多様性領域生態リスク評価・対策研究室長の五箇公一さんが、ある動物をめぐるやっかいな感染症の
-
環境異変の兆し? うるさい蚊はどこへ
2022/9/21 10:00 1302文字今夏は蚊が少ない――。そう感じた人は多かったのではないでしょうか。国立環境研究所生物多様性領域生態リスク評価・対策研究室長の五箇公一さんもその一人でした。蚊のような身近な生き物にも、環境異変の兆しが表れているのかもしれません。 「今年の夏はあまりの猛暑で、蚊に刺されることが少なかったという意見が多
-
実は凶暴? サルがトラウマになったわけ
2022/8/24 10:00 1340文字サルは見た目には愛らしいですが、自分の身を守るためには極めて凶暴な一面を見せるので、襲われると危険です。国立環境研究所生物多様性領域生態リスク評価・対策研究室長の五箇公一さんには、幼いころのトラウマがあるといいます。 この夏、野生のサルが地方の小さな街を震え上がらせた。山陽新幹線の新山口駅から北に
-
夏のビーチで遭遇した危険生物
2022/7/27 10:00 1446文字自然界には、人間の命を簡単に奪う生き物がいます。国立環境研究所生物多様性領域生態リスク評価・対策研究室長の五箇公一さんも、南西諸島・宮古島のビーチで野生生物の怖さを知ったといいます。何があったのでしょうか。 ◇日本の近海でも「ジョーズ」の恐怖 エジプトの観光ビーチで白昼、多くの行楽客が目撃する中で
-
食べ物を奪うケースも トビが人なれするわけ
2022/6/22 10:00 1421文字<飛べ飛べとんび 空高く――>、トビは童謡にも登場する身近な鳥だが、最近、人の食べ物を奪うケースが多く見られる。人なれするトビの原因を、国立環境研究所生物多様性領域生態リスク評価・対策研究室長の五箇公一さんが解説する。 先日、鳥取市内の公園で家族と一緒に昼食を楽しんでいた女性が、手にしたハンバーガ
-
-
養蜂業に深刻な脅威、外来スズメバチを追え!
2022/5/25 10:00 1316文字日本の生態系を脅かす外来昆虫。中でも、九州などで発見例が相次ぐツマアカスズメバチの脅威は深刻だという。国立環境研究所生物多様性領域生態リスク評価・対策研究室長の五箇公一さんが解説する。 ◇好物はミツバチ 4月28日と今月6日、外来昆虫ツマアカスズメバチの女王が相次いで福岡県内で発見された。これはか
-
ヒアリの先輩「アルゼンチンアリ」 スーパーコロニーで勢力拡大
2022/4/25 16:30 1268文字2017年に日本で初めて確認されて話題になったヒアリ。だが、すでに日本に定着し被害を及ぼしている外来アリもいる。国立環境研究所生物多様性領域生態リスク評価・対策研究室長の五箇公一さんが、中でも代表的な「アルゼンチンアリ」の生態を紹介した。 ◇東京、大阪など13都府県で確認 今月初めに大阪(伊丹)空
-
侵略的外来生物の二大巨頭、ついに規制対象に 17年経て法改正へ
2022/3/23 20:00 1384文字外国から日本へ持ち込まれて生態系に悪影響を与える外来生物。その規制に関する法律の改正案が、開会中の通常国会で審議される見通しだ。改正法案では、長年問題視されながら深刻な影響を及ぼしていた生物2種の規制・対策が盛り込まれた。その経緯について、「ダニ学者」で知られる国立環境研究所の五箇公一さんが解説す
-
キングギドラの名を持つ新種=五箇公一
2022/2/24 02:01 1236文字この連載コラムでは、SF怪獣をちょくちょくネタに使わせてもらっているので、すでにお察しいただいていると思うが、筆者は無類の怪獣好きであり、無数のフィギュアをコレクションしている。 特に昭和時代のゴジラシリーズやウルトラマンシリーズに登場する着ぐるみ怪獣が好みで、断トツに気に入っているのが宇宙怪獣キ
-
都市に生きる生物=五箇公一
2022/1/27 02:01 1291文字この冬は一段と寒さと降雪が厳しい。東京都内でも4年ぶりに10センチ以上の積雪が観測された。外来生物対策を担当する身としては、この寒さで東京港に侵入した熱帯原産のヒアリ集団もギブアップしてくれたら良いのに……と思うのだが、恐らく彼らは期待に反して厳冬も乗り切って、次の春から活動を再開するものと予測さ
-
-
ウイルスVS宇宙からの侵略者=五箇公一
2021/12/23 02:01 1260文字このコラムを担当してからはや2年と8カ月が過ぎ、うち2年間は新型コロナウイルス流行下での執筆となった。もういいかげん、このウイルス感染も収まってほしいところだが、世界全体ではいまだ感染者数は増加を続けており、変異株の出現もやまない。今しばらくはウイルスの動向を注意深く監視しながらの「ウオッチ・コロ
-
怪獣のモデルとなった巨大昆虫=五箇公一
2021/11/25 02:02 1308文字この1年半は新型コロナウイルス感染拡大のため自宅で過ごす時間が増え、好きなSF映画をいろいろと鑑賞することができた。特にお気に入りなのが、昭和の時代に人気絶頂だった東宝怪獣映画シリーズ。着ぐるみ怪獣とミニチュアセットというアナログな特撮世界が子供の頃から好きだった。 この特撮怪獣シリーズに登場する
-
母のおなかで育つダニ=五箇公一
2021/10/28 02:06 1257文字以前テレビの科学バラエティー番組に出演した際、収録打ち上げの席で共演者のお笑い芸人さんから「僕、ダニにすごい興味があるんで、今夜はダニの話、いっぱい聞かせてください」と詰め寄られ、対面で延々とダニの生態について語らされたことがある。なんでも仲のいい芸人仲間に生物好きの方がいて、いつもその芸人さんと
-
大空の王者の苦難=五箇公一
2021/9/23 02:03 1275文字一時期、マルハナバチという昆虫の調査で毎年、春から夏に野付半島へ通っていた。野付半島は北海道の知床半島と根室半島の中間に位置し、オホーツク海へ「つ」の字形に伸びる砂嘴(さし)(海流で運ばれた砂が堆積(たいせき)してできた半島)だ。海浜性の植生が広がり、砂嘴に囲まれた内湾部には湿地があって豊かな生物
-
続くヒアリの侵入=五箇公一
2021/8/26 02:03 1208文字新型コロナウイルス感染拡大で国際的な人流が抑制されていても、物資の流通は止まることはなく、それに併せて外来生物のヒアリの侵入も続いている。2019年7月に東京港・品川ふ頭の港湾施設に隣接する緑地で国内初となる野生の巣が発見され、緊急の駆除が行われた。その後も現在に至るまで、東京港の青海ふ頭や大井ふ
-