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舞台縦横ときどきナナメ
「復帰50年」が映す沖縄と本土の距離感 演劇から考える
2022/12/14 18:30 2982文字沖縄の高校生で「1972年5月15日」という「復帰の日」の年月日を正しく答えたのは22%。沖縄歴史教育研究会が今年実施したアンケート調査の結果だ。ということは、本土ではもっと少ないのだろう。ともかく「復帰50年」の今年、沖縄を題材にした数多くの演劇作品が新作・旧作問わず上演された。沖縄を考えること
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演劇が突きつける「沖縄と本土の距離感」 復帰50年に問う
2022/11/12 12:00 1534文字沖縄復帰50年の今年、演劇界でもさまざまな切り口で「オキナワ」を問う作品が上演されてきた。11~12月にもKAAT神奈川芸術劇場の「ライカムで待っとく」、エーシーオー沖縄・名取事務所の「カタブイ、1972」と続く。 ◇兼島拓也「現地に住む人の感覚を乗せる」 「ライカムで待っとく」(11月27日~1
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春風亭小朝さん「あるようでなかった」落語と歌舞伎、忠臣蔵でコラボ
2022/11/1 13:18 1010文字初代国立劇場さよなら公演の一環として11月2日に幕を開ける11月歌舞伎公演「歌舞伎&落語 コラボ忠臣蔵」に登場する落語家の春風亭小朝さん。「あるようでない企画。以前からこういう感じでやりたいと思っていた。本興行でやることに意味がある」と意気込む。 ◇「吉良の方が悪いと思います?」 中村芝翫さんが早
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アートな時間
「君が代」不起立騒動を14年前の台本のまま上演 濱田元子
2022/10/21 07:00 1406文字舞台 二兎社「歌わせたい男たち」 男たちは何を歌わせたいのか。謎めいたタイトルにそそられる。その歌とは「君が代」。2005年に初演され大きな反響を呼んだ永井愛の傑作戯曲は、公立高校の卒業式での「君が代」斉唱を巡る教師たちの攻防を描く。社会を問う硬派なテーマでありながら喜劇的。08年の再演以来、キャス
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舞台縦横ときどきナナメ
今も変わらぬ家族の相克 演劇集団円「ソハ、福ノ倚(ヨ)ルトコロ」
2022/10/12 21:30 1100文字心理を緻密に手繰り、家族のドラマに定評のある演劇集団円の内藤裕子。今作は江戸時代の戯作者(げさくしゃ)、曲亭馬琴と周囲の人々を軸に、作品や時世を絡めながら、ウイットに富んだ多面体の物語を描き出す。江戸の昔も今も変わらない家族の相克、女性たちの葛藤を、劇団ならではのアンサンブルで見せる。演出も内藤。
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襲名披露に清新な風 毎日3人が登場 落語協会真打ち披露興行
2022/9/25 19:00 1343文字東京・上野の鈴本演芸場で21日、落語協会(柳亭市馬会長)の春風亭一蔵、市弥改め八代目柳亭小燕枝、小辰改め十代目入船亭扇橋の3人の、真打ち昇進襲名披露興行がスタートした。 これまでにない新鮮な光景が、お祝いムードの盛り上げに一役買っている。というのも、40日間の寄席興行中、毎日3人がお目見えするのだ
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舞台縦横ときどきナナメ
89歳仲代達矢が圧巻の存在感 無名塾「いのちぼうにふろう物語」
2022/9/10 19:40 1219文字自分の命を投げ出してでも、人のために何かをしようとする。ギスギスとして乾ききった今の世の中にあって、ならず者と呼ばれる若者たちのそんな姿が、人を思うこと、生きることの意味を問い、深く胸に刻みつけていく。 仲代達矢率いる無名塾が「いのちぼうにふろう物語」(山本周五郎原作、隆巴劇作、林清人演出)を石川
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アートな時間
男女の2人芝居を男女の演出家とキャスト2組で上演=濱田元子
2022/7/15 07:00 1266文字舞台 Heisenberg ハイゼンベルク他者との関係の揺らぎ 物理原理になぞらえて 英米であまたの演劇賞を受賞した舞台「夜中に犬に起こった奇妙な事件」(マーク・ハッドン原作)の脚色などで知られる、劇作家サイモン・スティーヴンス。彼が、ドイツのノーベル物理学賞受賞者ヴェルナー・カール・ハイゼンベルク
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アートな時間
コロナ禍による上演中止から2年 日はまた昇るのか=濱田元子
2022/6/17 07:00 1275文字舞台 サンセットメン男たちは再起できるのか桑原裕子が注目の書き下ろし 名前を聞いただけで、新作舞台を見たいと思わせる。桑原裕子(劇団KAKUTA主宰)は、そんな注目の劇作家・演出家の一人だ。 市井の人々にこだわり、緻密なセリフと作劇で、悲喜こもごもの心模様をあぶり出す。これまで文化庁芸術祭新人賞、鶴
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舞台縦横ときどきナナメ
抱かれているのは確かに俺だけど…「ムッシュ・シュミットって誰だ?」
2022/6/15 21:18 1320文字「抱かれているのは確かに俺だけど、抱いている俺はいったいどこの誰だろう」 自分が浅草の観音様の前で行き倒れて死んでいる。そそっかしい隣人にそう聞かされた、こちらもそそっかしい男。最初は「死んだ気がしない」と言っていたが、次第に説得されて、自分の死骸を引き取りに行くことになる。 源流は江戸時代にさか
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舞台縦横ときどきナナメ
劇団桟敷童子「夏至の侍」 〝迷い金魚〟に家族の相克重ね
2022/6/14 14:30 1268文字東憲司率いる劇団桟敷童子の舞台を見る楽しみの一つは、劇団員総がかりで作る、手をかけた人の肌のにおい、土のにおいがする装置だ。 拠点にしている「すみだパークシアター倉」は駅からちょっと離れた公園の一角にたたずみ、それだけですでに異空間。さらに一歩中に入れば、装置が醸す空気で、開演前からすでに芝居の世
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アートな時間
植民地支配に関わったオーウェル。理想と現実に引き裂かれる姿描く=濱田元子
2022/5/20 07:00 1343文字舞台 劇団印象─indian elephant─「ジョージ・オーウェル ~沈黙の声~」ディストピア小説の巨匠を主役にナショナリズムとの葛藤を描く 思想や言論が統制される全体主義社会を描く小説『1984年』。英国の作家、ジョージ・オーウェル(1903~50年、本名エリック・アーサー・ブレア)が1948
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アートな時間
弾圧された「唯物論研究会」 科学的思考貫いた人々の悲劇描く=濱田元子
2022/4/15 07:00 1392文字舞台 青年劇場「眞理の勇氣 ──戸坂潤と唯物論研究会」弾圧された「唯物論研究会」 政治と科学の関係問いかけ 1931年に満州事変が勃発し、日本は国際連盟理事会による満州国からの撤兵勧告などを受けて33年に連盟脱退を通告した。泥沼の「15年戦争」へと突き進んでいくに従って、反体制的な言論や思想への統制
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舞台縦横ときどきナナメ
沖縄本土復帰50年企画 「密航者」が照射する占領下の沖縄と現在
2022/4/10 16:00 1472文字北緯27度線――。第二次大戦後、1972年5月までアメリカ占領下に置かれた沖縄と、53年12月に日本に返還された奄美群島最南端の与論島との間、海上に引かれた“国境線”だ。許可なくして、琉球列島の域内に入ることはできなかった。【濱田元子】 3月26~29日、那覇文化芸術劇場なはーと小劇場で上演された
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アートな時間
我々みんながセールスマン。米演劇を代表する戯曲に段田安則が初挑戦=濱田元子
2022/3/18 07:00 1317文字舞台 パルコ・プロデュース 「セールスマンの死」資本主義社会のゆがみを体現 米国屈指の戯曲に段田安則が挑戦 社会と個人の関係を高い問題意識で見つめる。アーサー・ミラー(1915~2005年)による、戦後米演劇界を代表する戯曲の一つだ。やり手のセールスマンだったウィリー・ローマンに「アメリカの夢」を仮
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アートな時間
権謀術数の限り尽くす跡目争い。家族とは? 親子とは? 問う愛憎劇=濱田元子(舞台)
2022/2/18 07:00 1319文字舞台 東京芸術劇場「冬のライオン」 権謀術数の限り尽くす跡目争い 「家族とは何か?」を問う愛憎劇=濱田元子 世界史の教科書も、年号や人名の羅列ではなく、こんなに人間くさく、スリリングでドロドロに書かれていたらさぞかし読むのが楽しいだろう。 米劇作家ジェームズ・ゴールドマンによる「冬のライオン」は、中
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アートな時間
沖縄本土復帰から半世紀 よみがえる不屈の魂=濱田元子
2022/1/21 07:00 1385文字舞台 劇団文化座「命(ぬち)どぅ宝」 沖縄本土復帰から半世紀 よみがえる不屈の魂=濱田元子 今年は沖縄が日本本土に復帰して50年となる。 太平洋戦争末期の沖縄戦では、地上戦の戦場となり、県民の4人に1人が亡くなったとも言われる。戦後も27年間にわたって米軍の統治下に置かれた。 その沖縄で、戦後復興と
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アートな時間
正反対の性格を演じる「1人2役」が3人! 米女性の強さ描く=濱田元子
2021/12/17 07:00 1297文字舞台 シス・カンパニー 「ミネオラ・ツインズ」 激動のアメリカ現代史 女性の視点から過激に=濱田元子 #MeToo運動もあって、ジェンダー問題への意識が日本でも高まってきた。とはいえ、各国の男女格差を測る世界経済フォーラムの「ジェンダーギャップ指数」(2021年3月公表)で、日本は156カ国中120
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アートな時間
舞台 アル☆カンパニー・ラボ 「POPPY!!!」=濱田元子
2021/11/19 07:00 1333文字元恋人同士に夫婦に未婚カップル… 食い違うから面白い男女6人の日常 小空間から発信する心に刺さる舞台が、観客を引きつける。アル☆カンパニーは、平田満と井上加奈子によるプロデュースユニットだ。 2人が実際に劇場で見て「この人のせりふが言いたいな」と思った若い世代の作家に声をかけてきた。15年前のスター
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次々と話題作生む「アル☆カンパニー」 新作が映す現代の諸相
2021/11/18 06:00 557文字平田満さんと井上加奈子さんによるプロデュースユニット「アル☆カンパニー」が、ラボと銘打ち、野田慈伸さん(桃尻犬)の作・演出で「POPPY!!!」を上演する。 若い世代の作家と組んで、次々と話題作を生んできた平田さんと井上さん。今回は「はじけたもの、パワーがあるものをやりたい」と、下北沢で見た野田さ
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