日米地位協定・知事アンケート全結果

1960年に改定された日米安全保障条約と、これに基づき在日米軍の法的地位や基地の管理・運用を定めた日米地位協定は、23日で発効から60年を迎える。発効60年を前に47都道府県の知事にアンケートを依頼し地位協定を見直すべきかどうか、などの意見を尋ねた。

見直す理由の選択肢(当てはまる項目を全て選択)

ア  基地が所在する自治体だけでなく、日本全体の問題だから

イ 米軍専用施設の7割以上が集中する沖縄県の負担を軽減する必要があるから

ウ 住民から米軍基地や米軍の訓練に関する不安の声が上がっているから

エ 米国の他の同盟国では、接受国の権利がより広く認められているから

オ 日本の国内法を米軍にも適用してほしいから

カ  日米地位協定は締結以来、一度も改定されたことがないから

キ 日米安全保障体制に疑問を抱いているから

ク そのほか(具体的な回答)

都道府県 協定を見直す必要があるか 見直す理由 自由記述(★は無回答のコメント)
北海道 ○(必要がある) ア、イ、ウ、オ
青森県 ア、イ、ウ、オ、カ 基地等の運用に当たっては、本県における民生安定が損なわれることがあってはならないというスタンスに立ち、基地所在市町村と連携して対応している。こうした考え方に立って、事件、事故が発生した場合、その都度、米軍三沢基地司令官や東北防衛局長等に対し、再発防止や綱紀粛正を申し入れている。いずれにしても、日米地位協定により、県民等が不利益を受けるような事案の発生の可能性を低減する対応を行うことは必要であると考えている。また、日米地位協定は、昭和35年(1960年)に締結されて以来、改定されていないことから、我が国の社会経済環境の変化に対応した日米地位協定の適切な見直し等が必要と考えている。
岩手県 ア、オ 米軍の移動や訓練に対して日本の権限が及ばないこと、すなわち、日本国民による民主的統制が及ばないということは、地方自治の観点からも、住民の安全、福祉の増進という観点からしても非常に問題があると考える。
宮城県 無回答 ★国政・安全保障に関することであるため、コメントする立場にないと考えておりますが、全国知事会の提言に対する国の動きは注視したいと思います。
秋田県 ウ、オ、カ 米軍基地に関する事項は防衛に関わるものであると認識しつつ、今後も全国知事会の考え方と歩調を合わせていきたいと考えている。
山形県 ア、オ 国家の安全保障に関する政策は基本的に国政の枠組みの中で議論されるべきものですが、日米地位協定に関しては、各自治体住民の生活に直結する重要な問題であるとの認識から行った全国知事会の提言を踏まえて、日米両政府において十分協議していただきたいと考えております。
福島県 無回答 ★日米地位協定については、日米安全保障体制の根幹に関わる問題であり、我が国の外交、安全保障上、極めて大きな課題であることから、国が沖縄県民はもとより、国民に対して丁寧に説明を尽くし、その意見を十分に踏まえた上で、責任を持って対応すべきであると考えております。そのため、個別の設問に対しての回答は控えさせていただきます。
茨城県 ア、ウ、オ、カ
栃木県 基地問題は、我が国の外交・防衛政策上の問題であるとともに、住民生活に密接に関わる問題である。政府において、地元の負担軽減をはじめ、問題の解決に向けた協議と国民に対する説明を丁寧に行うことが求められるのではないかと考える。
群馬県 ア、イ、オ
埼玉県 ア、イ、ウ、エ、オ、カ 基地周辺の生活環境の保全や安全の確保が重要であることから、基地周辺の治安が保たれ、基地への出入りについて日本が責任を持つことができるようにすることが必要と考えます。その際には、米側の理解も得られやすいと考えられる、地位協定第2条第4項(b)の適用が現実的と考えます。また、米軍人及び軍属の犯罪に際し、起訴前の引き渡し及び公務中の犯罪について第1次の裁判権を主張すべきと考えます。
千葉県
東京都 ク(日米地位協定は、昭和35年(1960年)の締結後、補足協定により、運用の改善は図られているものの、60年近く、一度も改定されておらず、この間、日米を取り巻く安全保障環境や、我が国の社会経済状況は大きく変化しており、適切な見直しを行う必要があるため)
神奈川県 オ、カ、ク(現行の日米地位協定には、日米合同委員会に地元自治体の意見を反映する仕組みがないことなど、様々な課題があり、基地問題の抜本的な解決のためには日米地位協定の改定が必要である) 米軍基地を抱える15の都道府県で構成する「渉外関係主要都道府県知事連絡協議会」(渉外知事会)の会長を務めている。渉外知事会では、基地を巡る様々な問題を解決するため、国内環境法令の適用、刑事裁判手続きの見直し、日米合同委員会の中に基地を有する地方公共団体の代表者が参加する地域特別委員会を設置することなど具体的な提案を行い、改定を求めてきた。今後も、米軍基地に起因する問題を抜本的に解決するため、日米地位協定の改定を求めていく。
新潟県
富山県
石川県 無回答(「その他」と回答) ★日米安全保障体制にかかわる問題であり、国において、国民が納得のいく方向で対応されるべきと考える。
福井県 ク(全国知事会において、日米地位協定の見直しを含む「米軍基地負担に関する提言」が決議されているから)
山梨県 ア、ウ、オ
長野県 ア、ウ、オ
岐阜県 無回答 ★在日米軍問題は、国の安全保障を担う政府が責任を持って対応すべき問題であると考えます。
静岡県 イ、オ、カ、ク(刑事裁判権が第1次的に米国にあるなど、不平等な内容が盛り込まれた協定であるため) 日米地位協定は治外法権に近く、不平等である。繰り返される米軍の事件事故を防止するためにも、抜本的な改定が必要である。
愛知県 ア、イ、ウ、オ、ク(米軍基地と地元自治体、住民等との摩擦を出来る限り小さくしていく必要があるため) 国会議員時代には、地位協定改定議連の国会議員100名の責任者を務め、日米地位協定の改定に向け、外務省及びアメリカ国務省等と協議を行ってきた。この議連の主張は、被疑者の起訴前後の身柄の共同留保や被害者に対する補償の充実、米軍基地への環境法令の適用、空域の調整等であり、出来る限り米軍基地と地元自治体、住民等との摩擦を小さくしていこうというものである。日米の同盟関係を今後も継続し、より強固なものにしていくためには、アメリカと日本、そして地元自治体や住民がお互いに理解を深め、より良い関係を築いていかなければならない。そのためには「日米地位協定」の改定が必要であると考えている。
三重県 ク(私が委員を務めた「米軍基地負担に関する研究会」における、「締結以来一度も改定されておらず、補足協定等により運用改善が図られているものの、国内法の適用や自治体の基地立入権がないなど、わが国にとって、依然として十分とは言えない現況である」との認識を共有しているため) 日米地位協定については、我が国の外交や安全保障に関する事案であるため、国において大局的な観点から十分議論いただくことが重要であると考えますが、住民の生活に影響を及ぼす可能性もあることから、国は関係自治体やその住民に対し十分な情報を提供し説明を尽くす必要があると考えます。
滋賀県 ア、イ、オ 安全保障政策は、国の専管事項であるが、全ての都道府県に関わる重要な事項であり、国からの丁寧な説明の下、国民的な議論がしっかりとなされる必要がある。
京都府 日米地位協定については、一昨年7月、全国知事会が、国内法の米軍への原則適用など抜本的な見直しを提言した。この提言は、大きな基地負担を抱える自治体も含め全ての都道府県知事が参画する中でまとめられたものであり、引き続き全国知事会や渉外知事会を通じ、国に働きかけていく。
大阪府 ア、イ 国の安全保障・外交は、一義的には政府の専管事項であり、日米地位協定の見直しについても、日本政府が判断するものと考えます。しかしながら、沖縄県に米軍基地が過度に集中していることから、その負担を全国で分かち合い、沖縄県の負担軽減を図るべきものと考えます。大阪府としては、国から要請があった場合には、市町村とも協議し対応していきます。
兵庫県 エ、オ 戦後75年、未だに敗戦国法制が継続している国は日本のみ。対等の関係として協定すべき。
奈良県 無回答 ★今回の「日米地位協定アンケート」についてですが、このことについては、国の専権事項である国防、外交という日本の安全保障の問題と、沖縄県をはじめとする在日米軍基地の存する地域の問題が複雑に絡み合い、解決が大変難しい問題であると認識しており、奈良県知事としてご意見を申し上げることはすべきではないと思っております。したがって、今回のアンケートについては、お答えを差し控えさせていただきます。
和歌山県 ク(基地使用や訓練飛行のあり方に問題がある。また、日米合同委員会においてもこういった問題が解決されていないことから、地位協定全体を見直し、より良いものとしなければならないと考えるため)
鳥取県 イ、ウ 大戦直後の日米関係下で結ばれた協定であり、犯罪人の対応をはじめ、日本と米国の友好的で対等な関係を発展させることに支障を生じさせていると考える。
島根県 ウ、オ 島根県西部において、米海兵隊岩国基地所属と思われる米軍機の低空飛行訓練により、住民が不安や恐怖を覚える等の騒音被害が続いている状況のため、日米地位協定の見直しにより、米軍にも航空法などの国内法を適用させ、低空飛行訓練が行われないよう改善を求めたい。
岡山県 ク(住民の生活に直結する重大な問題であるから) 外交・防衛対策は国の専管事項であり、国において適切に判断されるものと考えているが、日米地位協定は、住民の生活に直結する重大な問題であることから、その見直しを全国知事会として提言したものであり、引き続き知事会等を通じて国に求めていきたい。
広島県 ク(近年,日米を取り巻く安全保障体制等が大きく変化したにもかかわらず,日米地位協定は60年もの間,改定されていない。これまで政府は,基地に関する問題が発生する都度,運用改善で対応してきており,運用改善で対応できるものは積極的に取り組むべきと考えるが,米軍基地に起因する問題を解決するためには,日米地位協定の改定は必要である) 本県では,岩国基地への米空母艦載機の移駐に伴い,米軍機の低空飛行や騒音被害により県民の平穏な日常生活に影響が生じており,騒音軽減及び飛行訓練の制限等に係る条項の新設など日米地位協定の改定について,渉外関係主要都道府県知事連絡協議会を通じて,国へ要請しているところである。
山口県 ク(航空機騒音や事件・事故など、米軍基地に起因する諸問題を抜本的に解決するためには、日米地位協定の改定が必要と考えるから)
徳島県 ア、イ、ウ、エ、オ 日米地位協定は、締結以来一度も改定されておらず、補足協定等により運用改善が図られているものの、国内法の適用や自治体の基地立ち入り権がないなど、我が国にとって、依然として十分と言えない現況である。昨年7月に日米両政府間で「日本国内における合衆国軍隊の使用する施設・区域外での合衆国軍用航空機事故に関するガイドライン」の改正について合意され、一部改善が行われたものの全国知事会における提言内容が実現したとは言い難い状況であり、国においては、国民の生命・財産や領土・領海等を守る立場から引き続き、積極的に取り組んでいただきたい。
香川県 ア、ウ、オ 国民の生命・財産や領土・領海等を守る立場から、政府の責任において判断されるべきであると考えている。
愛媛県 無回答 ★日米地位協定については、日米両国の政府間で協議の上、国が責任を持って適切に対応すべきものであると考えており、全国知事会においても同協定の見直し等に関して国への提言がなされているため、個別の回答は差し控えたい。
高知県 ア、イ、ウ、エ、オ 我が国を取り巻く安全保障環境は一層厳しさを増しており、日米地位協定は、日本と極東の平和と安全に寄与する目的で駐留する在日米軍の円滑な活動を確保する観点から、日米安全保障体制にとって極めて重要なものになっていると認識している。しかしながら、日米地位協定は、国内法の適用がないなど、我が国にとって、依然として十分とは言えない現況であるといった課題があると認識している。政府には、国民の理解と協力が得られるよう、日米地位協定のあるべき姿を不断に追求していただきたいと考えている。
福岡県 オ、ク(国内法の適用や自治体の基地立入権がないなど、我が国にとって、十分とは言えない現況であるため)
佐賀県 ア、エ
長崎県 ア、ウ、オ
熊本県 無回答 ★日米地位協定の問題は、我が国の安全保障政策上、非常に重要で、かつ、高度な政治判断を要するものです。このような国の外交・防衛に関する問題は、あくまでも国の専管事項であり、発言は差し控えさせていただきます。また、これは沖縄という一地域にとどまらず、国民全体に関わる重要な問題であり、国会はもとより、国政選挙の場などを通じて、国民的な議論を十分に深めていく必要があると考えています。
大分県 ウ、エ
宮崎県 ア、イ、ウ、エ、オ、カ 日米地位協定は、日米安全保障条約第6条の規定に基づき、国会の承認を経て締結されたものであり、日米安全保障体制にとって重要な協定であると考えている。一方で協定の締結以来、一度も改定されておらず、補足協定等により運用改善が図られているものの、国内法の適用や自治体の基地立ち入り権がないなど、我が国にとって、依然として課題があるとも認識している。
鹿児島県 無回答 ★ 日米地位協定に関することも含めて,防衛・外交はもとより国の専管事項であることから,全国知事会の提言内容を踏まえて,まずは国政の場で議論を尽くしていただきたいと思います。
沖縄県 ア、イ、ウ、エ、オ、カ、ク(米軍基地から派生する諸問題を解決するためには、米側に裁量を委ねる形となる運用の改善だけでは不十分と考えるから)  ※以下に掲載

※沖縄県による自由記述欄の回答

沖縄県では、米軍人・軍属等による事件・事故や日常的に発生する航空機騒音、PFOS等の環境問題のほか、実弾射撃演習による原野火災など、米軍基地に起因する相次ぐ事件・事故が、県民生活に様々な影響を与えている。

このような米軍基地から派生する諸問題を解決するためには、米軍に裁量を委ねる形となる運用の改善や補足協定の見直しだけでは不十分であり、米軍基地の整理・縮小に加え、日米地位協定の抜本的な見直しが必要であると考えており、県はこれまでに3度見直しの要請を行った。

しかしながら、米軍専用施設面積の約70.3%が沖縄に集中することにより、国民にとって米軍基地の問題が不可視化な(よく見えない)状態となり、多くの国民が日米安保の問題を自分ごととして捉えられず、結果として、日米地位協定の改定が国民的な議論に至っていないのではないかと考えている。

日米地位協定を「自分ごと」、「民主主義の問題」として捉えていただき、国民全体で解決すべき問題であるとの共通理解を持っていただきたい。

<改善を求めたい事項>

日米地位協定の見直しに関する要請(2017年9月 沖縄県)(一部抜粋)

第2条関係(施設および区域の許与、決定、返還、特殊使用)

 ○日本国政府および合衆国政府は、施設および区域の提供または用途の変更、施設および区域内における埋め立て、大規模な土地の形状の変更、大規模な工作物の新設または修繕等を行う計画がある場合は、関係地方公共団体と協議し、その意向を尊重する旨を明記すること。

第3条関係(施設および区域内外の管理)

○合衆国軍隊は、施設および区域が所在する地方公共団体に対し、事前の通知後の施設および区域への立ち入りを含め、公務を遂行する上で必要かつ適切なあらゆる援助を与えることや、緊急の場合は、事前通知なしに即座の立ち入りを可能にする旨を明記すること。

○合衆国軍隊の演習、訓練、施設整備等の諸活動の実施に対して、航空法等の日本国内法を適用する旨を明記すること。

○下記の内容の環境条項を新設する旨を明記すること

ア 合衆国は、合衆国軍隊の活動に伴って発生するばい煙、汚水、赤土、PCBを含む廃棄物等の処理その他の公害を防止し、または自然環境を適正に保全するために必要な措置を講ずる責務を有するものとする。

 また、日本国における合衆国軍隊の活動に対しては、環境保全に関する日本国内法を適用するものとする。

 イ 合衆国軍隊は、施設および区域における全ての計画の策定に当たっては、人、動植物、土壌、水、大気、文化財等に及ぼす影響を最小限にするものとする。また、当該計画に基づく事業の実施前に、および実施後においては定期的に、当該事業が与える影響を調査し、予測または測定し、評価するとともに、調査結果を公表するものとする。さらに、日米両政府間で、当該調査結果を踏まえ、環境保全上の措置について協議するものとする。

 ウ 合衆国軍隊の活動に起因して発生する環境汚染については、合衆国の責任において適切な回復措置を執るものとする。そのための費用負担については、日米両政府間で協議するものとする。

第5条関係(船舶および航空機の出入および移動)

 ○民間航空機および民間船舶の円滑な定期運航および安全性を確保するため、合衆国軍隊による民間の空港および港湾の使用は、緊急時以外は禁止すること。また、合衆国軍隊が空港および港湾を使用する場合は、国内法を適用する旨を明記すること。

第17条関係(刑事裁判権)

 ○合衆国の軍当局は、日本国の当局から被疑者の起訴前の拘禁の移転の要請がある場合は、速やかにこれに応ずる旨を明記すること。

 ○米軍の財産が施設および区域の外にある場合には、日本国の当局が捜索、差押えまたは検証を行う権利を行使する旨を明記すること。

 ○施設および区域の外における事故現場等の必要な統制は、日本国の当局主導の下に行われる旨を明記すること。

第18条関係(民事請求権)

 ○公務外の合衆国軍隊の構成員もしくは軍属、もしくはそれらの家族の行為または不作為によって損害が生じた場合において、被害者に支払われる損害賠償額等が裁判所の確定判決に満たないときは、日米両政府の責任で、その差額を補てんするものとし、補てんに要した費用負担については、両政府間で協議する旨を明記すること。

第25条関係(合同委員会)

 ○日米合同委員会の合意事項を速やかに公表する旨を明記すること。

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