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効果は頭打ち?4回目接種で見えてきたワクチンの課題とは
2022/4/29 07:30 2551文字国内では、新型コロナウイルスワクチンの4回目接種の対象者から、60歳未満で健康な人は外れることになった。先行する海外のデータから、同じワクチンの接種を重ねても感染予防の効果が頭打ちとなり、課題が浮かんだためだ。オミクロン株などの変異株に対応してきたメッセンジャー(m)RNAワクチンだが、感染者のコ
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したたかに「人と共存」狙う? 新型コロナウイルスの進化と謎
2022/4/13 11:00 2397文字国内では2020年春から広がった新型コロナウイルス感染症は、流行と収束を何度も繰り返している。感染者を増減させている要因についてはまだ謎が多い。第1波から第5波を分析した大阪大のチームの研究によると、この間の「人流(人の流れ)」自体はあまり影響していない可能性が浮かんでいる。【岩崎歩/社会部、渡辺
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「日本からノーベル賞出なくなる」 受賞者も危機感 民間の力で支援を
2022/4/6 18:00 1799文字「研究者」というと、自分のテーマや謎を追究する人、と思われているだろう。でも、資金がなかったり雑用に追われたりと厳しい現実もある。そんな中、将来大きく花開く可能性を秘めた基礎科学研究を後押しする、新たな民間支援の仕組みが生まれている。 研究に専念できる環境を整えようと昨年12月に設立されたのが、一
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「コロナに効く」期待されたあの薬は今 掲載論文撤回も
2022/3/14 06:00 2994文字新型コロナウイルス感染症には当初、有効な治療薬がなく、別の病気のための既存薬を転用する「ドラッグリポジショニング」が試された。だが期待に反して、その後の研究で効果が示されていない薬も少なくない。既存薬への期待はいまだに根強いが、明確な科学的根拠がない中での服用にはリスクがつきまとう。【岩崎歩、渡辺
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新型出生前診断 「拡大ありき」で進んだ議論 背景に無認定施設急増
2022/3/7 21:41深掘り 2699文字妊婦の血液から胎児の染色体疾患を推定する新型出生前診断(NIPT)について、国や学会などの運営委員会が新たな指針を作った。年齢の制限をなくし、強い希望があれば全ての妊婦が検査を受けられるようになる。NIPTは「命の選別」につながりかねないとの批判も根強いが、指針作りに関わった複数の委員は「最初から
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生殖補助医療、進まない法整備 子どもの出自知る権利ないがしろ
2022/2/16 09:45 0文字 -
生殖補助医療、進まない法整備 子どもの出自知る権利ないがしろ
2022/2/15 16:01深掘り 2828文字第三者の精子・卵子を使った生殖補助医療について、日本産科婦人科学会(日産婦)は、提供者の情報を管理する公的機関の設置を国に要望することになった。日産婦がルール作りを求める背景には、長年この医療で多数の子どもが生まれながら、生まれてくる子の出自を知る権利や提供者の義務などに関する国レベルの議論が一向
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オシント新時代~荒れる情報の海
ディープフェイク「本物と見分けつかなくなる」 馬場口登・大阪大教授
2022/1/17 06:30 2914文字進化を続ける人工知能(AI)によるディープフェイク。それによって作られるフェイクメディアの合成や検出技術が専門の馬場口登・大阪大教授(情報通信工学)は「今後は限りなく本物とフェイクの見分けがつかなくなる」と警鐘を鳴らす。情報の海に紛れ込む悪意に立ち向かう最新研究とは。【聞き手・渡辺諒】 ◇SNS投
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オシント新時代~荒れる情報の海
ディープフェイク最大の脅威は「うそつきの配当」 ニーナ・シック氏
2022/1/9 06:00深掘り 2847文字「ディープフェイクは人類史において前例のない情報の武器になり得る」――。ディープフェイクが与える社会的影響を考察した著書もある英在住の作家、ニーナ・シック氏は先端技術がもたらす脅威をそう表現する。迫り来る虚実の判別ができない世界を、私たちはどう生きるのか。【聞き手・渡辺諒】 ◇進化を続ける最新の脅
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オシント新時代~荒れる情報の海
ワクチン巡るデマ拡散、主な起点は7アカウント 「命奪いかねない」
2022/1/5 06:00 3982文字激しく波を打つ2本の折れ線グラフ。「新型コロナウイルスのワクチン接種で不妊になる」といった科学的根拠のない主張を巡るネット交流サービス(SNS)上の攻防を可視化したものだ。作成した東京大の鳥海(とりうみ)不二夫教授(計算社会科学)の分析によれば、ツイッターで2021年に拡散したワクチンと不妊をめぐ
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オシント新時代~荒れる情報の海
口座開設の顔認証を突破 ディープフェイクの脅威
2022/1/4 06:00深掘り動画あり 4788文字情報の海に入り込んだ悪意の象徴として、世界中で懸念が高まる「ディープフェイク」。人工知能(AI)の深層学習(ディープラーニング)と偽物(フェイク)を組み合わせた造語だ。いまや専門的な知識がなくても、スマートフォン一つで「偽物」が作れる時代になった。 2021年6月、人工知能学会で日立製作所のグルー
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不妊治療は「不要不急」だったのか 学会声明が残した爪痕
2021/12/8 16:00 2619文字「2万736人」。今年1~2月の出生数は前年同期と比べてこれだけ減った。出産人口の減少に加え、新型コロナウイルス感染拡大に伴う「産み控え」の影響が指摘されている。 そんな中、不妊治療を続けるカップルには、さらに不安に拍車をかける出来事があった。いわゆる「十月十日(とつきとおか)」前の2020年4月
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野鳥探して全国7000キロ 消えかけた調査報告書が示した異変
2021/11/22 08:00 2251文字身近な鳥から絶滅危惧種まで、日本の鳥類の分布をつぶさに記録した報告書が10月にまとまった。これまで約20年おきに刊行され、今回で3回目になる。ところが今回は、国が予算を大幅に削減した影響で、調査の実施そのものが危ぶまれる事態に。それでも2100人を超すバードウオッチャーたちが全国津々浦々、野鳥を探
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北海道熱波、欧州洪水…温暖化で異常気象 COP26で切実な訴え
2021/11/10 11:00深掘り 2260文字英グラスゴーで開催中の国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)では、地球温暖化との関連が指摘される気象災害など、島国などから深刻な被害を訴える声が相次いでいる。日本でも今夏、冷涼な北海道で意外な現象が確認された。世界で、日本で今、どんな変化が起きているのか。【垂水友里香、渡辺諒、グラ
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インパクトは「病床倍増に匹敵」 新型コロナ飲み薬はどう効くのか
2021/10/23 15:00 2652文字新型コロナウイルス感染症対策で、ワクチンと並ぶ切り札として期待される「飲み薬」。国内外で開発が進み、今月初めには米国で重症化予防効果を示す臨床試験(治験)の中間解析が発表されて注目を集めた。高い感染力に加え、重症化しやすい新型コロナをいかに抑え込むのか。ワクチンとは一線を画すその仕組みに迫る。【岩
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地球温暖化予測の基礎築く 真鍋淑郎氏らにノーベル物理学賞
2021/10/5 21:12深掘り 2337文字今年のノーベル物理学賞に、気候変動予測の基礎を築いた真鍋淑郎(しゅくろう)・米プリンストン大上席気象研究員(90)ら3氏が選ばれた。地球科学では異例の受賞決定だ。地球温暖化に歯止めがかからず、コンピューターシミュレーションによる予測は我々の生活に欠かせない。真鍋氏らの業績に迫った。 18世紀の産業
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ノーベル賞なるか 日本人も関わったコロナワクチンの技術と発見
2021/9/29 07:00 1833文字新型コロナウイルスの主なワクチンは、遺伝物質のメッセンジャー(m)RNAを使う新しいタイプだ。かつてない速さで開発が成功した背景には、ノーベル賞級とも目される重要な発見があり、日本の研究者も関わる。10月4日からのノーベル賞発表を前に、研究内容に迫った。 新型コロナに感染するとヒトの免疫細胞は、ウ
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抗体減少でワクチン効果は 鍵握る「メモリー細胞」の働きに迫る
2021/9/10 12:00深掘り図解あり 3609文字新型コロナウイルスワクチンの接種者が感染する「ブレークスルー感染」が注目を集め、先進国を中心に「ブースター」と呼ばれる追加接種を検討する動きが広がっている。その背景として注目されているのが、接種から一定期間が経過するとワクチンで得られた免疫を担う抗体が体内で減少してしまうことだ。しかし、抗体は免疫
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ワクチン接種後に抗体が減るのは「想定内」? 免疫学者が語る真実
2021/9/5 08:00 2773文字新型コロナウイルスワクチンの接種から一定期間が経過すると、免疫を担う抗体が減少するとの報告が国内外で出ている。加えて、ワクチン接種が進む国で感染の再拡大も起きている。これらに関連はあるのだろうか。抗体の減少は悲観すべきことなのか。免疫学が専門で大阪大名誉教授の宮坂昌之さんは、抗体の量だけにとらわれ
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変異株の感染力、スパコン富岳で算出せよ ワクチン開発に光明
2021/9/1 09:00 1833文字パンデミック(世界的大流行)の続く新型コロナウイルス。注目されるのは変異に伴う感染力の増強だが、これをスーパーコンピューターで調べる研究が進んでいる。感染力の増強度合いを事前に計算でき、より効果の高いワクチン開発につながる可能性もある。 新規感染者が全国で1日2万人を超えることもあるなど流行拡大の
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