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二の舞いはごめんだ=永山悦子
2022/6/27 13:06 924文字「水際阻止に限界」「対策 強制力なし」「発熱対応 限界寸前」「保健所に相談続々」「ワクチン接種拡大 輸入頼み」「感染症対策の底上げ急務」 いずれも毎日新聞の見出しだ。ただし、新型コロナウイルス感染症に関する記事ではない。2009年春から流行した新型インフルエンザのときのものだ。 現代社会では感染症
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「10億円」はなくても=永山悦子
2022/6/20 13:13 926文字先月、神戸市で開かれた日本耳鼻咽喉(いんこう)科頭頸部(とうけいぶ)外科学会の講演で、たまげることがあった。 新しいがん治療法の開発に取り組む楽天メディカルの三木谷浩史会長が、イノベーション(技術革新)の秘訣(ひけつ)について語ったとき、ウクライナ支援に触れたスライドに、こう書かれていたのだ。 「
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お楽しみはこれから=永山悦子
2022/6/13 13:35 948文字アフリカ・タンザニアのオルドバイ渓谷は、人類の祖先である猿人の化石が発掘された場所だ。そこから南へ約800キロ、サバンナが広がる高原地帯で1938年、黒い石ころが見つかった。人類進化の舞台に転がっていたのは、太陽系の歴史を伝える隕石(いんせき)だった。 発見場所の地名から「イブナ隕石」と呼ばれる。
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医療プレミア特集
がんを守る細胞を攻撃 楽天メディカルが臨床試験開始へ
2022/6/11 12:00医療プレミア 1982文字がん光免疫療法の開発に取り組む楽天メディカルが1日、がんを免疫細胞から守っている「制御性T細胞」を攻撃する新しいがん治療法の臨床試験を、国内で実施すると発表した。日本医療研究開発機構(AMED)が資金を支援するプログラムに採択され、正式に契約を締結した。 ◇ターゲットは免疫抑制細胞 光免疫療法は、
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日本政府が褒められた=永山悦子
2022/6/6 13:03 933文字今年のカンヌ国際映画祭で、日本人がかかわる賞は、是枝裕和監督作品への男優賞、早川千絵監督への新人監督賞の次点に当たる賞だった。最高賞でなくとも、名誉な賞であることは間違いない。 一方、不名誉な賞として知られるのが、米アカデミー賞の授賞式前日に発表される「ゴールデン・ラズベリー賞」だ。「最低」の映画
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経済プレミア・トピックス
無重力で「ファイトイッパーツ!?」大正製薬が宇宙食
2022/6/5 05:30経済プレミア 1409文字栄養ドリンク「リポビタンD」で知られる大正製薬が、ゼリー飲料の宇宙食を開発した。上空400キロを周回する国際宇宙ステーション(ISS)で宇宙飛行士たちが飲む日も近いかもしれない。宇宙に「ファイト、イッパーツ!」のエールが届くことになりそうだが、道のりは平たんではなかった。 ISSなどで宇宙飛行士が
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お忘れでは?=永山悦子
2022/5/30 13:02 949文字新型コロナウイルスの感染拡大の局面で、いつも課題になるのが「病床逼迫(ひっぱく)」だ。各地の病院はギリギリの対応を重ねながら、「未知のウイルス」との闘いに力を注いできた。 その中心となったのが、都道府県、市町村が設置する公立病院や国立病院、赤十字などの公的病院だったというデータがある。 地域医療に
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宇宙食に愛を込めて=永山悦子
2022/5/23 13:02 933文字米航空宇宙局(NASA)によると、世界で初めて宇宙で食事をしたのは、1961年に人類初の宇宙飛行に成功したソ連のガガーリンだ。地球一周の間に、牛肉のペーストとチョコレートソースをアルミのチューブから食べた。 ただし、当時の宇宙食はソ連製も米国製もまずく、不評だった。それから約60年、改良を重ね、今
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沖縄と奄美の日本復帰=永山悦子
2022/5/16 13:10 926文字<ここは北緯二十九度直下 奇妙不可解な人為の緯線が のろわれた民族の死線に変わろうとしている>(泉芳朗「断食悲願」) 第二次世界大戦後、日本はサンフランシスコ講和条約で主権を回復した。その第3条に「北緯29度より南の地域を日本から分離する」と定められた。対象は沖縄諸島、奄美群島など。それに衝撃を受
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「共食い」はごめんだ=永山悦子
2022/5/9 13:41 924文字メスのカマキリがオスを食べる。エサの足りないオタマジャクシが他の個体を食べる――。 「共食い」は、生物界全体では栄養などを得るための珍しくない行動のようだ。しかし、人間の世界で起きては困る。困ると言うより、絶対にあってはならない。 この言葉を思い出したのは、大阪府・大阪市と長崎県が、カジノを含む統
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知床の悲劇に思う=永山悦子
2022/5/2 13:24 908文字「なぜ、知床じゃないんだ」 1993年に屋久島(鹿児島県)と白神山地(秋田、青森県)が世界自然遺産に登録されたとき、北海道・知床で上がった声という。 原生的な自然が知られるが、70年代から、個人の寄付で、放棄された開墾地を開発から守る「しれとこ100平方メートル運動」など、市民レベルの自然保護が根
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ワクチンの選択肢=永山悦子
2022/4/25 13:08 929文字世界の新型コロナウイルスの感染者数は5億人を超えた。それをはるかに上回る20億人が感染したウイルスがある。B型肝炎ウイルスだ。 日本でも戦後、感染が広がったが、今は40代以下の感染が大きく減っている。1980年代にワクチンが開発され、感染予防が進んだからだ。 B型肝炎のワクチンは当初、感染者の血液
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完全試合のバトン=永山悦子
2022/4/18 13:02 916文字その新入生は、最初から違っていた。 ずば抜けて身長が高く、キャッチボールの球はとんでもなく速かった。「どうしてあんなやつがここに」。そんな声も上がった。 2017年に岩手県立大船渡高に進学し、野球部へ入った佐々木朗希投手だ。同校野球部は、1984年の春と夏の甲子園に出場したものの、それ以降、全国は
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小児科医の出番=永山悦子
2022/4/11 13:31 909文字バンザイの姿勢で眠りいる吾子(あこ)よ そうだバンザイ生まれてバンザイ 子育てをテーマにした短歌を多く発表している俵万智さんの作品だ。俵さんはウェブメディアのインタビューに、「息子が生まれたときのうれしさを、そのまま形にした歌。生まれたときは『息をしているだけでも本当にありがたい!』という感謝の気
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ゲームチェンジャー?=永山悦子
2022/4/4 13:04 934文字停戦協議の行方が気になるウクライナ情勢。ニュースで紹介されたウクライナ側の戦闘員の言葉に、耳が引き寄せられた。 「ドローン(遠隔操作や自動制御で飛ぶ無人航空機)を非常にたくさん利用している。(中略)現在の軍事技術の進歩に後れを取らないことが非常に大切です」 ウクライナ側は、軍事ドローンに加えて民間
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温泉・カニでにぎわう街の元市長が語る「コウノトリと共生する防災」
2022/4/3 09:00 3584文字いつ身近で起きるか分からない自然災害。東日本大震災の発生から11年たち、自然を力で完全に押さえ込むのではなく、人の避難対応なども合わせて被害をできるだけ小さくする「減災」の取り組みが広がる。そこでヒントになりそうなのが、2004年に台風災害に見舞われた兵庫県豊岡市の前市長、中貝宗治(なかがい・むね
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天気予報のありがたさ=永山悦子
2022/3/28 13:13 923文字日本で初めて天気予報が出されたのは、1884(明治17)年6月1日のこと。当時は東京都内の交番などに張り出された。 その文言は「全国一般風ノ向キハ定リナシ天気ハ変リ易シ但シ雨天勝チ」。全国の天気を一文で予想する大ざっぱなものだった。 天気予報の放送は、1925(大正14)年3月22日のラジオの誕生
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大人の防災=永山悦子
2022/3/14 13:30 948文字国内でかばんを最も多く生産している自治体は、兵庫県北部にある豊岡市だ。JR山陰線の豊岡駅を訪れたとき、ホームにかばんの自販機があるのには驚いた。 衣類などをしまう「柳行李(やなぎごうり)」の産地だったことが源流にある。市内を流れる円山(まるやま)川の川辺の湿地に、材料の低木「コリヤナギ」が自生して
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西郷輝彦さんの治療=永山悦子
2022/3/7 13:14 927文字俳優の西郷輝彦さんが前立腺がんで亡くなった。正直に言うと、「小さい頃に見ていた時代劇の俳優さん」というイメージしかなかった。だが、訃報に気になる点があり、いくつも読み比べた。 「日本で未承認の治療を受けるため、オーストラリアへ渡航していた」という部分だ。 放射性物質を含む薬を使う「核医学治療」を受
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地球の外から見たら=永山悦子
2022/2/28 12:48 907文字ウクライナを南北に貫く大河、ドニエプル川は、ロシアに源流を持ち、黒海へ注ぐ。長さは2200キロに及ぶ。 この川によって、ウクライナは歴史的に東部と西部に分けられてきた。ロシアの影響を受けてきたのが東部、欧州との縁を深めてきたのが西部になる。第二次世界大戦では、川をはさんで独ソが激戦を繰り広げ、おび
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