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見せる外交 だが何を?=山田孝男
4/5 02:21注目の連載 1370文字米中外交トップ会談(3月18~19日、米アラスカ州アンカレジ)は、冒頭1時間に及ぶハプニングの公開舌戦が話題だった。 新疆ウイグル自治区、香港、台湾――の人権と民主主義を問う米国に対し、中国は「強者の立場から(=上から目線で)話す資格はない」と反発した。 舌戦の全文(23、24日付日経新聞)を読む
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陥没をめぐって=山田孝男
3/29 02:01注目の連載 1345文字東京電力柏崎刈羽原子力発電所(新潟県)が再稼働の望みを断たれたのは、原子力規制委員会が<慣れ>からくる不祥事の連鎖を重く見たからである。 他人のIDカードによる社員の中央制御室不正入室が発覚(1月)し、侵入検知機の長期にわたる故障放置も露見(今月16日)。同24日、規制委が是正措置命令の発令を決め
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現代日本政治の謎=山田孝男
3/22 02:00注目の連載 1339文字リチャード・ロイド・パリー「津波の霊たち」の邦訳を文庫版(早川書房、1月刊)で読み返し、「政治に対する日本人の無関心、嫌悪、あきらめ」というくだりが頭に残った。 被災地で2014年末の衆院選を観察した著者の回想の一節である。 著者は「殺し合いも略奪もない、被災者たちの礼儀正しさ、広大無辺な慈悲の心
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廃炉 この道でいいか=山田孝男
3/8 02:01注目の連載 1372文字原発事故10年。遅くとも2051年に廃炉完了――が建前だが、溶け落ちた核燃料を取り出せず、工程表は5回書き直され、作業は遅れている――。 それが東京電力福島第1原発の現状――と気づくのも、10年の節目でメディアが取り上げるから。福島から遠ざかるほど、ふだんは誰も意識しない。 小出裕章・元京大原子炉
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接待問題を腑分けする=山田孝男
3/1 02:02注目の連載 1355文字総務省幹部の国会答弁で気になることの一つに「東北新社様」という、卑屈な呼び方がある。 「東北新社」でいい。 国民に尊大な印象を与えまいという無意識の用心から、見境なく「様」を連発するのだろう。当人が滑稽(こっけい)さに気づかない。 「週刊文春」が現場写真をすっぱ抜いて間もなく1カ月。官業癒着の元凶
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橋本新会長の課題=山田孝男
2/22 02:00注目の連載 1380文字パンデミックの現状を素直に見れば、東京オリンピック・パラリンピック大会の開催は危うい。 だが、ではこうしようという現実的、合理的な代案を公の場で率直に話し合うことはできない。 五輪は時の首相や、元首相や、大会組織委員会会長の一存で制御できるものではない。昔も今も。 ◇ 2019年のNHK大河
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森擁護の構造を問う=山田孝男
2/8 02:01注目の連載 1349文字時代錯誤の女性蔑視発言と<居直り謝罪>の醜態にもかかわらず、森喜朗元首相(83)はなぜ、東京オリンピック・パラリンピック大会組織委員会会長の座にとどまれるのか? その秘密は、面倒見のよさで政界随一という、森のこまめな世話役的個性に根差すと私は思う。 森に義理を感じている人物が政官界、メディア、スポ
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商業化五輪の転機=山田孝男
2/1 02:00注目の連載 1353文字「オリンピックはアメリカ次第。大統領が開催に前向きな発言をしてくれれば勢いがつく」――。 東京オリンピック・パラリンピック大会組織委員会の高橋治之理事(76)が米紙ウォール・ストリート・ジャーナルのインタビューでそう言った(27日、電子版)。 高橋はこう続けた。 「(米国で放映権を独占する)NBC
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ワクチンをめぐって=山田孝男
1/25 02:00注目の連載 1348文字新型コロナウイルス対策のワクチン、分からないことだらけである。 にもかかわらず、河野太郎・行政改革担当相の指揮の下、<1億総接種>を急がなければならない――ということらしい。市中感染の急拡大を抑え、医療崩壊を食い止め、新しい時代の扉を開くために。 ◇ 20日、田村憲久厚生労働相が、米ニューヨ
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「コロナ後」の政治=山田孝男
1/18 02:04注目の連載 1333文字新型コロナウイルスで巣ごもりの冬、「民主主義とは何か」(講談社現代新書、昨年10月刊)という本がよく売れている。 著者は、菅義偉首相が日本学術会議会員への任命を拒んだ宇野重規(しげき)・東京大社会科学研究所教授(53)=政治思想史。 発売3カ月で8刷3万5000部。最近まで同社現代新書シリーズ中、
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建設的ジャーナリズム=山田孝男
1/11 02:02注目の連載 1342文字デジタル記事のページビュー(どの記事が読まれているか)は新聞の編集方針を左右するか? そう聞かれた米ニューヨーク・タイムズ紙の編集幹部がこう答えた。 「我々は数値によって職務や力点を変えない。読者はニューヨーク・タイムズの判断を求めているのであり、大衆(the crowd)の判断を求めているのでは
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脱炭素予算の舞台裏=山田孝男
12/28 02:03注目の連載 1367文字脱炭素は歴史的、国際的な要請であり、公約に掲げた菅義偉首相が間違っているとは思わない。 だが、「2兆円基金」で企業の環境投資を促す手法には疑問が多い。 基金は使途や効果をチェックしにくい不透明な制度であり、しかも財源は赤字国債頼みである。 内情を知る政府関係者がこう言っている。 「実態は、脱炭素政
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こわもての孤立=山田孝男
12/21 02:00注目の連載 1343文字官房長官時代の菅義偉語録に「権力は快感」――というものがある。 毎日新聞政治部の前官房長官番記者、秋山信一(現外信部)が「菅義偉とメディア」(毎日新聞出版12月新刊)に記した。 このエピソードは、野心を深く秘め、迅速果敢に首相の座を奪った菅という政治家を知るための、重要な手掛かりに違いない。
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尖閣、なぜ日本領か=山田孝男
12/7 02:00注目の連載 1333文字尖閣諸島に中国公船が押し寄せるのは「日本の漁船が入ってくるから」だと中国の王毅外相が言った(11月24日、日中外相会談後の共同記者発表)。 耳を疑うとはこのことだが、敏感に反応したのは共産党、産経新聞と自民党の右派だけだった。 左右両極の同調は興味深いが、目を向けるべきところは別にある。しんぶん赤
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屁みたいな事件=山田孝男
11/30 02:00注目の連載 1348文字晩秋の国会に「桜を見る会」問題が戻ってきた。 東京地検特捜部が安倍晋三前首相の秘書らを任意で聴取――と読売新聞がすっぱ抜いた(23日)。 市民団体の告発に基づく受け身の捜査か、それ以上の展開になるか、詮索が続いているが、それで思い出す逸話がある。 1973年11月12日、北京でキッシンジャー米国務
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勝つと思うな=山田孝男
11/23 02:02注目の連載 1354文字以前から腑(ふ)に落ちない決まり文句がある。 「人類がウイルスに打ち勝った証しとして、東京オリンピック・パラリンピック大会を開く」という首相の決意表明である。 安倍晋三前首相が使い始め、菅義偉首相の所信表明演説(10月26日)に引き継がれている。 東京五輪開催への熱意を強調するのはいいが、「人類が
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人材の登用について=山田孝男
11/16 02:00注目の連載 1350文字例によって世論は割れている。かたや「学問の自由に対する侵害」の声。反対側には「学者にも問題があり、一概に擁護できぬ」という声がある――。 菅義偉首相が、日本学術会議の会員候補の任命を拒否した問題である。 もしも首相の狙いが権力掌握を誇示するところにあるのなら、このままぬらりくらり進めばいい。 そう
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土の中なら大丈夫?=山田孝男
11/2 02:10イチオシ注目の連載 1352文字「脱炭素」宣言を押し出した菅義偉首相の所信表明演説に、こんなくだりがあった。「安全最優先で原子力政策を進める」 「脱石炭の菅」ではあっても、「脱原発の菅」ではなさそうである。だとしても「あしき前例主義を打破する菅」に違いない。原発の安全も虚心、自在に見極めてもらいたい。 ◇ 世間には、よく考
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鬼滅ブームと菅伝説=山田孝男
10/26 02:01注目の連載 1379文字子供も大人も熱狂へ駆り立てる「鬼滅(きめつ)の刃(やいば)」は社会現象に違いない。 「劇場版『鬼滅の刃』無限列車編」公開3日間(16~18日)の観客動員数は342万人、興行収入46億円でともに史上最高。漫画単行本の発行部数1億部超も空前の記録である。 専門家も説明に窮するという事態に口をはさむのも
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核ごみ 町長の一石=山田孝男
10/19 02:01注目の連載 1373文字8月以来、核のごみの最終処分場受け入れをめぐって揺れている北海道の寿都(すっつ)町へ行ってみた。 どんな町の、どんな町長が、なぜ手を挙げたのかを確かめるために。 ◇ 日本海に面した道南西部の寿都町は人口2900。 明治から第二次大戦後までニシン漁で栄えた。記録に残る限り最大人口は明治39(
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