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イタリア・オペラの楽しみ

ヴェルディと一緒に成長した「ドン・カルロ」

香原斗志

 つい先日、イタリア・オペラの専門家や愛好家の集まりに参加した際、それぞれが自己紹介の最後に、墓場に持っていきたいオペラ作品を上げることになったのだが、半数以上の人の回答がヴェルディの「ドン・カルロ」に集中した。

 実はこの作品、上演するのがなかなか大変だ。主要な登場人物だけで6人にもおよぶから歌手をそろえるのが大変なうえに、4幕もしくは5幕で上演時間が長く、おいそれと上演できるシロモノではないのである。もっとも、ひとたび上演されれば、失恋や道ならぬ恋といった男女の愛憎劇だけでなく、男同士の友情から権力者の孤独、父子の葛藤、さらには政治と宗教の対立にいたるまで、誰もが人生の節々で突き当たっては苦悩するようなテーマが、名アリアや重唱とともに連なっている。たしかに、墓場に持っていっても飽きないように思える。2月19日から23日まで、東京二期会が東京文化会館大ホールで上演するので、可能であれば、この作品の“濃さ”をぜひ味わっていただきたいが、「ドン・カルロ」が墓場に持っていきたい「イタリア・オペラ」だと聞いて、「えっ?」と思って人もいるかもしれない。というのは、このオペラは元来、パリのオペラ座から委嘱されて作曲された作品で、それゆえフランス語の台本に書かれたグラントペラ(英語でいえばグランド・オペラ)、平たく言えばフランス・オペラだからである。

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