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アンコール

ナッセン・都響 ミャスコフスキー、ストコフスキー版「展覧会の絵」…善戦に拍手

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 イギリスの作曲家・指揮者オリヴァー・ナッセンの客演で行われた東京都交響楽団の第793回定期演奏会(9月24日、東京文化会館)。ミャスコフスキーの交響曲第10番(1927)、ナッセンのヴァイオリン協奏曲(2002)、後半がムソルグスキー「展覧会の絵」のストコフスキー編曲版(1939)という、世にも稀(まれ)なるプログラムが組まれた。どの曲も生で聴くのは初めて、という聴衆が大半だったのではなかろうか。

     ミャスコフスキー作品は交響曲と呼ぶにはあまりにも異形な20分弱の単一楽章。押し寄せる情念の渦に、切迫した恐怖の影が走るおどろおどろしい代物だ。ナッセンの指揮は力で押さず、むしろクールだが、音楽にはしょせん救いも希望もない。ナッセンが曲に抱いた強い関心と共感を、演奏が聴衆に伝え得たかどうか、いずれにせよ私は疑問に思う。

     続くヴァイオリン協奏曲では、ソロを務めるカナダ生まれのテクニシャン、リーラ・ジョセホウィッツが場内を沸かせる。ナッセンならではの精緻なオーケストラ・パートを背景に、とりわけ両端楽章ではいかにも“現代音楽”のスコアが喜びそうな、乾いたヴァイオリン技巧を縦横に繰り広げた。

     さて、評価が割れそうなのが「展覧会の絵」だ。ストコフスキー・ヴァージョンはおなじみラヴェル版とはほとんど似ても似つかない。オーケストレーションは別の方向を向き、フランス的な情景を扱った<チュイルリーの庭>や<リモージュの市場>などはばっさりカットされている。一口に言えばラヴェル風の洗練に背を向けて、ムソルグスキーのロシア的なあくの強さを強調しようというのが編曲者の意図だろう。その上で一種の通俗狙いと言えなくもない、ショウ・ピース的な効果を加味しているのがさすがに独特だ。ともあれ珍しいものを聴けたことに感謝しつつ、見慣れぬ楽譜を前に善戦したオーケストラに拍手を送りたい。(音楽評論家・大木正純)

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