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必聴!

全国共同制作プロジェクト モーツァルトの歌劇《フィガロの結婚〜庭師は見た!》

第1幕 フィガ郎(大山大輔)とスザ女(小林紗羅)の結婚式当日

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指揮の井上道義
演出の野田秀樹
スザ女(スザンナ)を演じる小林紗羅
フィガ郎(フィガロ)は大山大輔が演じる

 演劇界の鬼才、野田秀樹とクラシック音楽界の気鋭、井上道義がタッグを組んだモーツァルトのオペラ《フィガロの結婚〜庭師は見た!》(新演出)。今春に全国5カ所で上演されたこの意欲作が、今度は東京芸術劇場(池袋)を手始めに、東北では山形市や仙台市に隣接する名取市、また九州の2都市でも上演される。

井上道義と野田秀樹による話題の新制作 東京、東北、九州で

 本来の《フィガロの結婚》は18世紀スペインが舞台。特権階級を風刺しつつ、フィガロとスザンナの結婚と、それに横やりを入れるアルマヴィーヴァ伯爵ら男女のドタバタを描いた喜劇だ。通常、歌詞は全編イタリア語で、各登場人物たちのレチタティーヴォ(チェンバロを伴い歌うように話される部分)とアリアで成り立っている。しかし野田の演出は鎖国時代の長崎へと舞台を移し、本来のスザンナはスザ女、フィガロはフィガ郎といった具合に、日本人として描かれる。しかも基本的に彼らは日本語で歌い、対して西洋人のアルマヴィーヴァ伯爵夫妻らはイタリア語で歌うというのだからおもしろい。また「庭師は見た」という副題のとおり、庭師のアントニオ(本作ではアントニ男)が語り手として進行役を務めるあたりに、野田の企みがキラリと光る。指揮者の井上たっての希望で実現した野田版《フィガロ》の、オペラと演劇の融合を楽しみたい。

 今回、野田の演出に息を吹き込むのは、演劇界とオペラ界の精鋭たちだ。進行役のアントニ男は演劇界から廣川三憲が務め、和製フィガロの世界へと聴衆を誘う。またスザ女は可憐な歌声の小林紗羅、フィガ郎は劇団四季《オペラ座の怪人》など演劇界でも活躍中の大山大輔が演じる。アルマヴィーヴァ伯爵を演じるナターレ・デ・カロリス、同伯爵夫人を歌うテオドラ・ゲオルギューら、脇を固めるオペラ界のベテラン陣にも注目したい。またおもしろいことに、伯爵の従者、ケルビーノを今回はカウンターテナーのマルテン・エンゲルチェズが演じる。オペラ・ファンならご存知のとおり、このケルビーノは設定上、少年。しかし通常はこれをメゾ・ソプラノ歌手、つまり女性が男装して演じることから、「ズボン役」などと呼ばれている。「ズボン役」ケルビーノは物語の中で女装したりもするのだが、今回これをエンゲルチェズがすることになり、さてさてどうなるだろうか。

 演奏は上演する各都市ゆかりのオーケストラが担当し、東京は読売日本交響楽団、東北は山形交響楽団、九州は九州交響楽団が、それぞれピットに入る。春秋合わせて6つのオーケストラが演奏するが、オペラ1つでこれだけ多くのオーケストラが入れ替わり演奏するのも、国内ではあまり例を見ないだろう。東は東北から西は九州までを巻き込んだ井上と野田の「フィガロ」。秋期公演がいよいよ幕を開ける。(正木裕美)

作品データ

原作: ピエール=オーギュスタン・カロン・ド・ボーマルシェによる戯曲「狂おしい一日、あるいはフィガロの結婚」

台本:ロレンツォ・ダ・ポンテ

作曲: ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト

初演:1786年5月1日 ブルク劇場(ウィーン)

設定: 18世紀のスペイン

スタッフ&キャスト

指揮・総監督:井上道義

演出:野田秀樹

舞台監督:伊藤潤

総合プロデューサー:山田正幸

美術:堀尾幸男(HORIO工房)

衣裳:ひびのこづえ

照明:小笠原純

音響:石丸耕一

振付:下司尚実

アルマヴィーヴァ伯爵:ナターレ・デ・カロリス

伯爵夫人:テオドラ・ゲオルギュー

スザ女(スザンナ):小林沙羅

フィガ郎(フィガロ):大山大輔

ケルビーノ:マルテン・エンゲルチェズ

マルチェ里奈(マルチェリーナ):森山京子

バルト郎(ドン・バルトロ):妻屋秀和

走り男(バジリオ):牧川修一

狂っちゃ男(クルツィオ):三浦大喜

バルバ里奈(バルバリーナ):コロン・えりか

庭師アントニ男(アントニオ):廣川三憲

合唱:新国立劇場合唱団、各地合唱団

管弦楽:読売日本交響楽団(東京)、山形交響楽団(山形、名取)、九州交響楽団(宮崎、熊本)

チェンバロ、コレペティトゥール:服部容子

公演日程

10月22日(木)18:30、24日(土)、25日(日)ともに14:00 東京芸術劇場

10月29日(木)18:30 山形テルサ

11月1日(日)14:00 名取市文化会館(宮城)

11月8日(日)14:00 メディキット県民文化センター(宮崎県立芸術劇場)

11月14日(土)15:00 熊本県立劇場

筆者プロフィル

正木裕美(まさき・ひろみ) 国立音楽大学(音楽教育学)、同大学院(音楽学)修了。クラシック音楽の総合情報誌「音楽の友」編集部勤務を経て、現在は仙台市在住。「音楽の友」編集部では、全国各地の音楽祭を訪れるなどフットワークを生かした取材に積極的に取り組んだ。東日本大震災発生後、仙台に移り住み、同市を拠点に東北各地の音楽状況や音楽による復興支援活動などの取材に力を入れている。

第4幕からフィガ郎とスザ女、伯爵(ナターレ・デ・カロリス)と伯爵夫人(テオドラ・ゲオルギュー)、バルト郎(妻屋秀和)とマルチェ里奈(森山京子)、ケルビーノ(マルテン・エンゲルチェズ)とバルバ里奈(コロン・えりか)
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