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必聴!

山田和樹と仙台フィルが紡ぐ、チャイコフスキーのロマンティシズム

仙台フィルのミュージック・パートナーを務める山田和樹 (C)Marco Borggreve

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 スイス・ロマンド管弦楽団やモンテカルロ・フィルハーモニー管弦楽団にポストを持ち、ますます活躍の場を広げる山田和樹。仙台フィルハーモニー管弦楽団とはメンデルスゾーン「エリア」やオルフ「カルミナ・ブラーナ」など、時代を問わずさまざまな作品を手掛け、ミュージック・パートナーの名にふさわしい年月を重ねてきた。俗っぽく荒くれた音色に合唱の配置換えなど、随所に山田の解釈が光った「カルミナ・ブラーナ」は昨年10月のこと。なまめかしく人間の俗っぽさに満ちたみずみずしい好演は、今もなお記憶に新しい。

 その山田が3月28日、およそ5カ月ぶりに仙台フィルに戻ってくる(会場:イズミティ21)。プログラムはチャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番と交響曲第5番。いずれも「ロマンティック」などと形容される超メジャーな作品だが、そもそもチャイコフスキーに見られる「ロマン的なもの」とはなんだろう。山田へのインタビューとともに、今度の演奏会をひもといてみたい。

 「今回演奏する作品もロマン派の作品、ロマンティックな曲なのですけれども、おもしろいことにロシア人がやるロマンティックな曲は、案外すごく淡々としていたりもするんですよね。もちろん情熱的な演奏もあって、それはオーケストラによって違うということなのでしょうけれど。ものすごく熱い、歌うようなメロディーをわりと淡々とやるようなところに、僕はすごく神髄があるんじゃないかと思っています。熱いものを熱いだけでやるのではロシアの寒々しさが出ない。ものすごく外は寒いけれど家の中や心の中は温かい、ロシアのロマン派の曲ってそんな曲だと思うのですよ。だから僕としては絶対的に冷たさがなければいけないと考えています。冷たさがあるから甘さや温かさが引き立つわけで、甘さとか温かさだけでは成立しない。やはりクラシック音楽ってコントラストなんですよね」

山田と仙台フィル=提供:仙台フィルハーモニー管弦楽団

 今回そのコントラスト、ロシア・ロマン派の神髄をともに描くのが、およそ5年にわたりミュージック・パートナーとして演奏を重ねてきた仙台フィルだ。残念ながらミュージック・パートナーとしてはこの公演が一区切りとなるが、以降も10月に公演を予定しており、今後も客演が期待される。5年の歳月を重ね、リレーションシップを深めてきた仙台フィルとの演奏について、山田は特有の“化学反応”を感じているという。

 「化学反応はいろいろなオーケストラ、例えば海外のスイス・ロマンド管やモンテカルロ・フィルでも起きるのですけれども、仙台は何かそれが特殊な気がするんですよね。全員と意思疎通ができているというか、通じ合って舞台を踏めるし、音が出るような気がするし、とてもハートがオープンな関係というのかな。僕もオープンで、オーケストラの皆さんもオープン。それは日本のオーケストラで言えば、仙台フィルとの特別な化学反応なんですよね」

ピアノ協奏曲でソリストを務める萩原麻未 (C) Akira Muto

 両者“ならでは”のサウンドや雰囲気を「僕が一番指揮台の上でビンビンと感じている」という山田だが、今回はさらにピアノ協奏曲のソリストに萩原麻未を迎え、3者による密な演奏を聴かせてくれそうだ。萩原といえば類いまれな表現力に定評があり、またアンサンブル力にもたけている。今回の共演は「僕が共演したいピアニストの筆頭にくる」という山田の希望で実現したそうで、それぞれは共演歴があるものの、3者そろっての公演は初めてとなる。役者はそろった。山田の手から紡ぎ出されるロシア・ロマン派の神髄を、たっぷりと味わうことにしよう。(正木 裕美)

 

公演日時とプログラム

【山田和樹指揮 仙台フィル vol.4 「ザ・ロマンティック》】

3月28日(火)19:00 イズミティ21

指揮:山田和樹

ピアノ:萩原麻未

管弦楽:仙台フィルハーモニー管弦楽団

  

チャイコフスキー:ピアノ協奏曲第1番変ロ短調op23

チャイコフスキー:交響曲第5番ホ短調op64

 

筆者プロフィル

 正木裕美(まさき・ひろみ) 国立音楽大学(音楽教育学)、同大学院(音楽学)修了。クラシック音楽の総合情報誌「音楽の友」編集部勤務を経て、現在は仙台市在住。「音楽の友」編集部では、全国各地の音楽祭を訪れるなどフットワークを生かした取材に積極的に取り組んだ。東日本大震災発生後、仙台に移り住み、同市を拠点に東北各地の音楽状況や音楽による復興支援活動などの取材に力を入れている。

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