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アンコール

若く張りのある声堪能 東京春祭ガラ・コンサート

写真提供:東京・春・音楽祭実行委員会/撮影:青柳 聡

 東京・春・音楽祭(3月16日~4月16日)で開催された二つのオーケストラ・コンサートについて振り返る。

写真提供:東京・春・音楽祭実行委員会/撮影:飯田耕治

 そのひとつは「ワーグナー・シリーズ」と並んで、同音楽祭の人気企画となっている「東京春祭 合唱の芸術シリーズ」。今年はドイツの名匠ウルフ・シルマーの指揮、東京都交響楽団と東京オペラシンガーズの演奏によってシューベルトのミサ曲第6番などが披露された。

 シューベルトの最晩年に作曲家されたミサ曲第6番は旋律美が際立つ名曲ではあるが、残念ながら日本で聴ける機会は決して多くはない。そんな隠れた名曲が演奏されたことは音楽祭の合唱シリーズの選曲として評価されるべきものであろう。

写真提供:東京・春・音楽祭実行委員会/撮影:青柳 聡

 シルマーは昨今の流行である各声部を分離するように浮き立たせていくスタイルではなく、作品の美点を十二分に発揮させるためにハーモニーの厚み、そこから生み出される美しく温かみを感じさせる響きを重視した音作りを行っていた。


写真提供:東京・春・音楽祭実行委員会/撮影:青柳 聡

 もうひとつは最終日に東京文化会館大ホールで行われたスペシャル・ガラ・コンサート。若手の指揮者と歌手がヴェルディやプッチーニらの主にイタリア・オペラの中から名アリアや重唱などを披露した。オーケストラは在京の主要オーケストラの首席奏者級メンバーによって編成された東京春祭特別オーケストラで、コンサートマスターはNHK交響楽団のコンマス、伊藤亮太郎が務めた。

写真提供:東京・春・音楽祭実行委員会/撮影:青柳 聡

 同公演の中でまず目に留まったのがイタリア出身の女性指揮者、スペランツァ・スカップッチ。小柄な体をいっぱいに使って、オーケストラから歌手の呼吸にピッタリと寄り添った旋律を柔軟に引き出していく姿だ。オペラの勘どころをちゃんと把握した上で、余裕をもってオーケストラを導いていることが伝わってくる指揮ぶりには少なからず驚かされた。ザルツブルクやウィーン、ローマなどでリッカルド・ムーティのアシスタントを8年間務めた後、指揮者としての活動を本格化させ、既にウィーン国立歌劇場でヴェルディの「椿姫」、ロッシーニの「チェネレントラ」などを指揮して成功を収め、イタリア・オペラをレパートリーの中心に据えてヨーロッパの主要歌劇場で躍進を続ける成長株なのだという。

写真提供:東京・春・音楽祭実行委員会/撮影:青柳 聡

 3人の出演歌手、クリスティナ・パサローユ(ソプラノ、ルーマニア出身)、イヴァン・マグリ(テノール、イタリア出身)、アドリアン・ザンペトレアン(バス、ルーマニア出身)のいずれもがヨーロッパの主要歌劇場にデビューを果たし成功を収めつつある、いわゆるライジング・スターばかり。何といっても若く張りのある声が魅力で、イタリア・オペラの名曲ナンバーを気持ちよく歌い、聴衆も肩ひじを張らずに楽しむ、といった雰囲気のコンサートとなった。もちろん、細かい部分では表現の粗さや不足を感じさせる箇所はあったものの、それらは今後、彼らが経験を積んでいけば解消していくものであろう。

 指揮者のスカップッチをはじめ、有望な若手音楽家の才能が日本の聴衆に紹介されるこうしたコンサートは、とても興味深い。東京・春・音楽祭のもうひとつの〝名物〟として定着させていってほしいものである。

写真提供:東京・春・音楽祭実行委員会/撮影:青柳 聡

公演データ

【東京春祭 合唱の芸術シリーズ vol.4シューベルト 「ミサ曲」~夭折の作曲家による、最後のミサ曲】

4月9日(日)15:00 東京文化会館 大ホール

 

指揮:ウルフ・シルマー

ソプラノ:オレナ・トカール

メゾ・ソプラノ:ウォリス・ジュンタ

テノール:パトリック・フォーゲル

バリトン:ペーター・シェーネ

合唱指揮:マティアス・ブラウアー、宮松重紀

合唱:東京オペラシンガーズ

管弦楽:東京都交響楽団

 

シューベルト:水上の精霊の歌 D.714

シューベルト(ウェーベルン編):「6つのドイツ舞曲」 D.820

シューベルト:ミサ曲 第6番 変ホ長調 D.950

 

【スペシャル・ガラ・コンサート~東京春祭2017 グランド・フィナーレを飾るオペラの名曲たち】

4月16日(日)15:00東京文化会館 大ホール

指揮:スペランツァ・スカップッチ

ソプラノ:クリスティナ・パサローユ

テノール:イヴァン・マグリ

バス:アドリアン・ザンペトレアン

管弦楽:東京春祭特別オーケストラ

モーツァルト:歌劇「フィガロの結婚」序曲

      :歌劇「フィガロの結婚」第1幕 より〝もう飛ぶまいぞ、この蝶々〟

      :歌劇「フィガロの結婚」第2幕 より〝愛の神よ、安らぎを与えたまえ〟

ヴェルディ:歌劇「ナブッコ」 序曲

     :歌劇「リゴレット」第3幕 より〝女心の歌〟

     :歌劇「リゴレット」第1幕 より〝慕わしい人の名は〟

     :歌劇「エルナーニ」第1幕 より“不幸な一夜!”

     :歌劇「椿姫」第2幕 より〝燃える心を〟

     :歌劇「椿姫」第3幕 より〝パリを離れて、いとしい人よ〟

     :歌劇「椿姫」第1幕 より〝不思議だわ〜ああ、そはかの人か〜花から花へ〟

ベッリーニ:歌劇「ノルマ」序曲

ドニゼッティ:歌劇「愛の妙薬」第1幕より ネモリーノとドゥルカマーラの二重唱

ロッシーニ:歌劇「セビリアの理髪師」第1幕より〝陰口はそよ風のように〟

ドニゼッティ:歌劇「ドン・パスクアーレ」第1幕より〝騎士はあの眼差しを〟

プッチーニ:歌劇「マノン・レスコー」間奏曲

     :歌劇「ラ・ボエーム」第1幕より〝冷たい手を〜私の名はミミ〜愛らしい乙

    女よ〟

ヴェルディ:歌劇「椿姫」第1幕より〝乾杯の歌〟(アンコール)

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